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 勝利を確信した商談だったが、顧客から“当て馬”扱いされた外資系ベンダーの日本支社。後に判明した顧客の本命は、米国のグループ会社だった。ここから日本支社の巻き返しが始まる。

=文中敬称略


 「実は、社内で先に検討すべき事案が持ち上がりました。いったん、商談を保留させてください」─。

 カルテシス・ジャパン(現日本ビジネスオブジェクツ、2007年に仏ビジネスオブジェクツが仏カルテシスを買収)のアカウントマネージャー、後藤悠は釈然としない気持ちを抑え、ユーザーの申し出を何とか理解しようとした。「分かりました。しばらくお待ちします」。確かその場は、そんな答えを絞り出したはずだ。

 それにしても腑に落ちない。大日本インキ化学工業(DIC)の経理部連結決算担当課長(当時)である大森千秋と連結決算担当課長の金子潤から声がかかり、後藤が2人を訪問したのが2005年11月。「連結会計システムの刷新を進めている」とのことで、大森と金子は後藤の提案を、待ち構えていた。

 後藤がすぐに勝利を確信したほど、好意的に話を聞いてくれた。ところが2006年の2月、トントン拍子で進んでいた商談に、大森らが突然ストップをかけたのだ。

 「我々は高く評価されている。当社の優位は揺るがない」。後藤は何とか自分に言い聞かせ、機会を伺うことにした。

 DICの大森らは確かに、カルテシス・ジャパンが販売する連結会計パッケージを高く評価していた。しかしDIC側に「カルテシス・ジャパンを商談の交渉相手にする意図はほとんどなかった」と金子は振り返る。実はDICが目指した交渉相手は日本ではなく海外にいた。後藤がそのことに気が付いたのはもっと後のことである。

子会社と同じ製品を使う

 DICが、連結会計システムの刷新に着手したのは2005年11月のこと。四半期の決算開示が上場企業に義務付けられるなど、2008年度から相次ぐ新しい会計制度に対応するためだ。

 大森や金子などのDICの経理部は、新しい連結会計システムに対する要件をまとめた。(1)審議中の案(2005年当時)を含め、新しい会計基準に対応できる、(2)米国子会社の会計システムと連携しやすい、(3)決算業務(財務会計)に加え、将来は収益を把握するための管理会計も導入できる─の3点である。



本記事は日経ソリューションビジネス2008年2月29日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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