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 ソリューションプロバイダは、顧客の願いや社会の希望を、現実の形にしてきた。歴史がそれを証明している。これから先も、人間の未来を切り拓くための多くの仕事が待っている。営業職か技術職かは関係ない。ITソリューションにかかわる以上、自分の仕事は必ずどこかで「夢」につながっている。本誌は300号の記念特集で改めてこのことを訴える。

ITが社会を生み出し、支え、切り開く

 ITソリューションには、誰もが体験したことのない新しい世界を生み出す力がある。

 ICチップを内蔵したカードで、駅の改札を通ったり店舗で買い物したりできる「Suica」。2001年のサービス開始後、累計発行枚数は2400万枚を超え、社会インフラとして生活に根付いた。携帯電話に音楽をダウンロードできる「着うたフル」が始まったのは2004年。利用者数は1300万人を突破。国民の1割以上が着うたを楽しんでいる計算になる。これらはいずれも巨大な情報システムと、全国に張り巡らされたネットワークがあって初めて成立するサービスだ。

 新たなものを生み出すことに加え、ITソリューションは企業の経済活動や人間の日常生活も支えている。そしてITソリューションは常に、社会や企業を支えるために、未来を切り拓いてきた。ブロードバンドの普及や、パソコンや携帯電話など情報端末の性能向上を背景に、未来に挑む企業はますます増えている。

生み出す

 1枚のカードを駅の改札にかざし、ピッという音とともに通過する。こんな日常の風景を実現したのが東日本旅客鉄道(JR東日本)のSuicaだ。 2004年に近畿・中国地方のICOCAと相互利用を開始し、首都圏の民鉄・バス事業者のPASMO、東海地方のTOICAと順次、利用エリアを拡大してきた。2010年までに北海道や九州に広がり、全国でSuicaを使える環境が整う。

 Suicaの検討チームが始動したのは1997年5月。Suicaの父である椎橋章夫執行役員IT・Suica事業本部副本部長は当初から「出改札システムとしての費用対効果だけでは多大な投資額に見合わず、経営層を説得できない」と分かっていた。出改札システムの設備を更新する必要があり、総投資額は 460億円になる計算だったからだ。

 ICカードを使ったシステム導入費用だけで130億円に上る。椎橋執行役員は「より大きな経済効果があることを、経営層に示さなければならない。来る日も来る日も事業計画を作ることに没頭した」と振り返る。

 椎橋執行役員が切り札にしたのは、一枚の絵だ。「鉄道事業を核に、駅ナカ事業を広げる。銀行やクレジット会社、他の鉄道会社を巻き込み生活革命を起こす」という未来像を、シンプルな三つの円で描いた。この未来像に、経営層がゴーサインを出した。

 1999年3月、Suicaプロジェクトは2001年の商用化に向けて走り始める。当時は世界中のどこにも、Suicaほどの規模でICカードを使う出改札システムはなかった。ジェイアール東日本メカトロニクス、ジェイアール東日本情報システム、NEC、オムロン、ソニー、東芝、日本信号、日立製作所、松下電器産業など、メーカーやSIerとの連携がプロジェクト成功の生命線だった。



本記事は日経ソリューションビジネス2008年7月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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