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 「日本版SOX法(J-SOX)」に向けたIT商談がようやく本格化してきた。上流コンサルティングでは「文書化の支援」の要望が、「毎年の運用をどう支援するか」といった新たなテーマにつながり始めた。IT統制では、IT部門の現状を棚卸しする「アセスメント」に引き合いがある。共通するのは、制度対応を急ぐ「短期ビジネス」から、毎年のステップアップを支援する「顧客の深耕ビジネス」へとシフトしていることだ。顧客と強固な関係を築くことができれば、J-SOX対応後の基幹業務システムの見直しといった「アフターJ-SOX」の商機もつかめる。



 「需要は当初予想の2~3倍を超えている。100人体制で事業化してもよかった」。こう日本版SOX法(J-SOX)向け事業の好調振りを語るのは、日立情報システムズの大川原文明ビジネステクノロジ推進本部長兼チーフコンサルタントだ。

 日立情報は主に中堅・中小企業に向けて、ユーザー企業のJ-SOX対応を上流工程から支援するコンサルティングサービスを提供している。30人体制で累計60社以上にサービスを提供してきたが、今もフル稼働が続いている。中でも予想を超えて好調が続いているのが、業務の「文書化作業」を支援・代行するサービスだという。

 文書化はJ-SOX対策の一連の工程で、初期に済ませておく作業である。2008年夏を過ぎれば、SIerによる支援・代行サービスに対する需要は急速に減るとみられていた。ところが「2008年度下期に向けて、まだ旺盛な需要がある」(大川原本部長)と言う。日立情報は新たにSEを教育し、年内にはコンサルティング事業の陣容を40人に増やす計画だ。

 好調が続いている要因の一つは、「監査人の指摘を受け、文書の手直しを迫られている顧客が意外に多い」(大川原本部長)からである。「自社での文書化作業がはかどらず、急きょ外部企業に協力を求めるケースも出てきた」(大塚商会コンサルティングサービス部の向川博英部長)という指摘もある。

 このように、J-SOX商談で今後も期待できるテーマがはっきりとしてきた。SIerの取り組み次第では、J-SOXを通じて顧客の“懐”に入り込んで息の長い収益ビジネスにつなげることができる。顧客との関係を続けることで、年を追って提案するテーマを広げていくのである。

 今、SIerは顧客にどんな提案をすべきか。取材の結果、「上流コンサルティング」「IT全般統制」「アフターJ-SOX」の三つのポイントがあることが分かった。共通するのは「顧客の運用を継続して支援する」という観点にある。

内部監査の支援もSIerのビジネスに

 例えば、一つ目の上流コンサルティングでは、冒頭に記述したように文書化作業の支援・代行がサービスの中核になる。「文書化のスキルを、運用の支援などの新しいサービスに形を変えることで、顧客の需要を掘り起こせる。たとえ需要のピークが過ぎても継続的なビジネスの種になる」と話すSIerは多い。

 日立ソフトウェアエンジニアリングは今夏から、運用の負荷を軽減するために、文書の内容を改善するサービスの提供を始めている。サービスは順調に滑り出しているという。

 文書化のほかに、J-SOXの運用で必須となる「経営者評価」(内部監査)にも需要が見えてきた。

 「毎年の内部監査をSIerに委託するサービスに顧客からの引き合いが強まっている。企業は負担の大きさに気付き、SIerの支援サービスを検討する企業が増えてきた」(三井情報総合研究所の中澤純次副所長)。



本記事は日経ソリューションビジネス2008年8月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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