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 信頼性の高い原価の見積もりや厳格な進捗管理の実現など、工事進行基準の適用開始まで残り半年でソリューションプロバイダが取り組むべきことは非常に多い。各社は移行プロジェクトの立ち上げや詳細なマニュアルの作成など、知恵と工夫を生かして急ピッチで作業を進めている。ソリューションプロバイダによる取り組みの最前線を探った。



 受託ソフトウエア開発の会計基準が、2009年4月から原則として工事進行基準に移行するまで、半年を切った(進行基準に関する説明は27ページの囲みを参照)。今もITベンダーからは、「現場での具体策が示されない」「経営陣の認識が甘く、取り組みが遅れている」といった声が上がる。

 一方、限られた時間の中で独自の知恵と工夫をこらし、進行基準への対応を進めている企業が出てきている。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)や NEC、日本ユニシスなどがそうだ。これらの企業の取り組みを取材すると、信頼性の高い原価の見積もりや厳格な進捗管理を実現し、進行基準へスムーズに移行するための三つのポイントが浮かび上がってきた。

 一つ目は、SEや営業など現場の人々に、進行基準を適用する背景をしっかりと認識してもらうこと。進行基準を適用する真意を十分に伝えないまま拙速に導入を進めれば、現場の反発を招く。二つ目は、進行基準を適用する際のルールや作業内容を標準化すること。例外を認めれば、見積原価の精度が下がったり、進捗を正確に把握できなくなったりする。そして三つ目が、現場の負担をできるだけ減らし、標準化したルールや手順をシステム化して効率よく運用することだ。具体的に各社がどう取り組みを進めているか、次ページから紹介しよう。

トップダウンで浸透

Case1 少人数でチームを作る財務部門中心に全社を主導

伊藤忠テクノソリューションズ

 進行基準への移行に反発する現場をどう説き伏せるか。多くの企業が経験するこの課題を、プロジェクトチームの在り方に注目して乗り切り、スムーズな移行にめどを付けたのがCTCである。

 CTCが進行基準への対応を意識し始めたのは、2007年12月末。会計基準を策定する民間団体の企業会計基準委員会が、受託ソフト開発に進行基準を適用する方針を正式に打ち出したタイミングだ。

 進行基準対応の特命チームである通称「タスクフォース」を立ち上げたのは2008年2月。多くの部門の意見を反映させようと、タスクフォースには営業や開発部門、事業グループ、プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)などの主要部門から約40人が参加した。だが、これが裏目に出た。人数が多すぎて意見がまとまらなかったのである。

 財務部門は全プロジェクトに進行基準を適用しようと考えていた。ところが大半の担当者は、できるだけ自分たちの現場の仕事が増えないことを優先しようとした。結果、タスクフォースが思うように機能しなかったのだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2008年10月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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