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 努力及ばず失注しかける。だが相手は1年がかりでリレーションを築いた顧客。簡単にあきらめるわけにいかない。顧客の要望にとことん付き合う覚悟を決め、再提案に臨んだ。

=文中敬称略


 「御社との商談は、これで打ち切らせて頂きます」。

 シーイーシーソリューションズ(CECソリューションズ)のエンタープライズ事業部ITMソリューション部営業グループの藤井重人は、こう言われた。相手は、トレイダーズ証券のシステム統括部業務管理課長を務める津川篤行である。藤井が提案書で示した見積額について説明するため、2008年4月末にトレイダーズ証券を訪問した時のことだ。

 CECソリューションズの藤井は、頭の中が真っ白になった。藤井が挑んだのは、トレイダーズ証券のログ管理システムの構築案件である。

 初回のプレゼンテーションで、津川の反応はまずまずだった。「予算との折り合いさえつけば、当社に任せてもらえそうだ」。こう考えていた矢先の通告だった。

 「いったい何がいけなかったのだろうか」。藤井は内心ショックを受けていたが、持ち前のポジティブ思考で頭を切り換えた。「今さら引けない。必ず受注してみせる」と奮起。「もう一度チャンスを下さい。津川さんに納得していただける提案を必ず持ってきます」と訴えた。

監査法人からダメ出しされる

 トレイダーズ証券は2008年2月から、新システムの検討を始めた。

 監査法人のシステム監査を受けたところ、ログ管理システムの不備を厳しく指摘されたことがきっかけである。特に対応を急ぐ必要があったのが、 Windowsのファイルサーバーと、ドメインコントローラのアクセスログの管理だ。ログの保存期間や形式など、社内ルールも統一しなければならなかった。

 そこで津川が中心となり、新システムの構築を委託するITベンダーの選定に乗り出した。津川は2008年3月、ログ管理システムに強そうな3社に声をかける。CECソリューションズと中堅SIerのA社とB社である。いずれの企業とも付き合いはなかったが、4月にコンペを実施した。

 CECソリューションズがコンペに参加できたのは、藤井の地道な営業活動があったからだ。2007年4月、トレイダーズ証券への電話セールスをきっかけに藤井は津川を初めて訪問した。月1~2回のペースで面会。課題を聞き、自社のソリューションに関する情報を提供していた。この活動が実を結んだわけだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2009年1月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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