デモで好評だった機能が、入札説明会で示された仕様書に見当たらない。顧客の本音を引き出せば、競合にも必ず情報が伝わる入札案件だ。デモで得た感触を信じて勝負に出た。
「以前実施したデモの内容には興味を持ってくれたはず。仕様に盛り込むほどまでではなかったということなのだろうか」
2008年10月初旬、さいたま文学館が実施した新規システム開発の入札説明会で、インフォコムの製品・サービス事業本部デジタルアーカイブシステム部図書館営業グループ主任の三須信幸は目算が外れ、衝撃を受けていた。
さいたま文学館は、田山花袋をはじめとする、県にゆかりのある文学者の作品や資料を収集・保存・展示する埼玉県の文教施設。三須が出席していたのは、入札方式やシステムに求める仕様などを明らかにする、基幹系システムの刷新プロジェクトの入札説明会である。
10万点のデータ検索が追いつかず
さいたま文学館が刷新を計画したのは、図書館情報システムをベースに開発し、5年近く利用してきた基幹系システムだ。図書や直筆原稿などの文学資料といった、さいたま文学館の収集・保存・展示物など、約10万件のデータを管理していた。
「1997年の開館以来、所蔵する文学資料や図書が増加し続けてきた。管理データが増えたことによる検索の処理速度の低下が目に付くようになった。文学者ゆかりの市町村に関する情報、新聞などのメディアで紹介された内容など、さまざまな情報を管理したいというニーズも出てきたので、刷新を決めた」。さいたま文学館の館長である岡田謙司はこう説明する。
本記事は日経ソリューションビジネス2009年11月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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