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 経営陣はビデオ会議システムの導入効果に懐疑的だったが、経営会議の場で実際にシステムを使ってもらうチャンスを得た。マイナスイメージを一新させるため、システム担当者と奔走する。

=文中敬称略


 プリンストンテクノロジーのDCS統括部西日本営業部係長である原田芳幸は、担当した案件が気にかかり、かたずをのんでオフィスの壁掛け時計に目を向けた。2008年8月上旬某日、午前9時ころのことである。

 このときミツカングループでは、商談の行方を左右する経営会議がまさに始まろうとしていた。本社と米国子会社の経営トップ同士によるミーティングを、原田が提案したシステムで実施する。

 原田がミツカングループに提案したのは、当時としては先進的なHD(ハイデフィニション)対応ビデオ会議システムの構築だ。うまくいけばHD対応製品の大量受注も見込める。

 だがビデオ会議システムに対する印象が悪かったり、何らかのトラブルが発生したりしたら、提案のチャンスは二度とこない。「やれることはやり尽くした。あとは神のみぞ知る、だ」。気持ちを落ち着かせようと原田は、何度も自分に言い聞かせた。 会議の効率化と経費削減目指す

 ミツカングループがビデオ会議システムを導入しようとしたのは、会議や打ち合わせの効率化を図り、意志決定のスピードを速めるためだ。出張経費を抑えようという狙いもあった。2008年3月、ミツカングループで共通業務を担う、ミツカンビジテックの情報システム部情報企画課の神谷健司が中心となり検討を開始した。

 神谷は「絶対に失敗できない」との思いでプロジェクトに臨んでいた。これまでも同社は、社員間のコミュニケーションの活性化を目的に、Web会議システムを導入していた。ただし映像品質や操作性の点で難があり、社内でほとんど利用していなかったのだ。

 しかも、ビデオ会議システムに対してマイナスイメージを経営陣が抱いているという問題があった。



本記事は日経ソリューションビジネス2009年11月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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