無線ブロードバンドサービスの法人市場が順調に伸びている。ここ1~2年で、通信事業者が定額料金のメニュー拡充や通信の高速化を急速に進めたからだ。クラウドコンピューティングへの移行など新たな導入目的が浮上してきたことも、市場拡大を後押ししている。導入企業の増加に伴い、通信事業者が主導してきた法人向けビジネスでSIerの出番が増える。
無線ブロードバンドは、屋内外のさまざまなエリアで、数Mビット/秒以上のデータ通信ができるサービスである。ノートパソコンにカード型やUSB型の無線通信端末を組み合わせて、インターネット接続などに使う。最近はスマートフォンなど端末の種類が増え利用シーンも広がってきた。
市場は急速に成長している。矢野経済研究所によれば、国内の無線ブロードバンドの契約回線数は、2008年度の584万回線が2009年度末には48%増の867万回線に増える見込みだ。
2014年度には2879万回線に達すると、矢野経済研究所は見ている。6年間で市場規模は、およそ5倍になるわけだ。
無線ブロードバンド市場が活性化した主な理由は「定額料金で利用できる点が、企業ユーザーに受けている」(イー・モバイルの名取知彦 専務執行役員法人営業統括本部長)ことである。
もともと無線ブロードバンドは、データ通信量や通信時間に応じた従量制のサービスが主流だった。2007年に、イー・モバイルが月額5000~6000円程度で使い放題のサービスを開始したことで状況が一変した。定額料金であれば通信コストを事前に見積もることができ、予算化しやすいことから、企業に浸透し始めた。
クラウドなど法人需要が後押し
この動きを見て、NTTドコモやKDDIも定額制のサービスを追加。2009年に入ると、通信速度が10Mビット/秒以上の定額サービスが相次いで登場した。光ファイバー回線やADSLなど有線のブロードバンドと同様に定額で高速なネットワーク基盤として、企業の関心を集めるようになっている。
本記事は日経ソリューションビジネス2009年12月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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