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 日本を含むグローバルの企業はプライベートクラウドに大きな期待を寄せているが、日本企業はパブリッククラウドにより慎重に構えている――。シマンテックの調査で明らかになっている。

 シマンテックは企業がどのようにデータセンターを活用しているのかを調査しており、3回目となる「2010 State of the Data Center Study(2010年版データセンターレポート)」(英語)をまとめている。3月16日に開催された説明会では、レポートの中で日本とグローバルを比較している。

パブリックよりもプライベート

 「プライベートクラウドの検討や利用はどういった段階にあるか」という設問に対して「検討中」と答えた企業が日本では32%であるのに対してグローバルでは25%。「計画中」との答えでは日本が32%でグローバルが30%という状況になっている。「試験段階」としているのは日本が13%で、グローバルが9%。「実装中」と答えているのは日本が8%、対するグローバルが11%という結果になっている。これから読み取れるのは、グローバルの方がわずかながらプライベートクラウドに対して積極的に取り組んでいるという実態だ。

 調査では、同様の質問をパブリッククラウドでも行っている。その回答で「検討中」としている日本は24%で、グローバルが23%。「計画中」としたのは日本が22%で、グローバルが25%。「試験段階」と答えているのは日本が7%で、グローバルが10%。「実装中」と回答しているのは日本が7%でグローバルが9%となっている。プライベートクラウドと同様に、パブリッククラウドでもグローバルの方が積極的に取り組んでいるという実態だ。

 しかし、プライベートクラウドとパブリッククラウドでは大きく異なる点がある。それは、パブリッククラウドに対して日本企業は積極的ではないという点だ。プライベートクラウドに対して「検討していない」としているのは日本23%、グローバル21%とそれほどの違いは見られない。これがパブリッククラウドになると「検討していない」とするのは、日本36%、グローバル28%と異なっている。

 公共システムや企業のシステムなどを見て分かるように、日本は伝統的にシステムの信頼性を重視する傾向があることとあわせて考えると、日本企業は現段階でパブリッククラウドを信頼していないと言えるのかもしれない。


ストレージ最適化を求める

 今回の調査は、全世界1780社が対象。従業員別に1万人以上、2000?9999人、1000?1999人と3つの階層に分けている。内訳は、1万人以上が62%、2000?9999人が23%、1000?1999人が15%となっている。調査では2010年の重要な取り組みは何かを聞いている。その結果の上位5項目は表の通りだ。

 「セキュリティ」は、グローバルと日本の両方で1位となっている。これは、データセンターに企業の重要なデータや情報が集積していることを考えると当然の結果と言えるだろう。シマンテックの朝倉英夫氏(プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ)は「80%を超えているのはセキュリティだけ」と説明。情報と物理の両面でセキュリティをより向上させようとしているIT部門の意識の表れとも指摘できるだろう。

 グローバルと日本で若干の順位の違いはあるものの、「バックアップとリカバリ」「継続的データ保護」「ストレージリソース管理」が挙げられているのは、データが集約されるストレージをより効率的に活用、管理しようとするIT部門の姿勢を表していると言える。バックアップを重要項目に挙げているのは「時間のかかる作業でもあるバックアップの作業をより効率よく行いたい」(朝倉氏)という意識からだ。継続的データ保護とストレージリソース管理を重要項目として挙げているのは、企業が抱えるデータがこの数年で爆発的に増加していることが背景にあると見ることができる。

 グローバルと日本で異なるのが、グローバルで「サーバ仮想化」を挙げているのに対し、日本では「データアーカイビング」を挙げているということだ。サーバ仮想化は、日本でもグローバルでも大きく進展しているが、アプリケーションの種類で見てみると、日本がグローバルよりも仮想化を進めていることが調査ではっきりしている。

 たとえば、ウェブアプリケーションは日本もグローバルも70%近くが仮想環境で稼働しているが、統合基幹業務システム(ERP)や顧客情報管理システム(CRM)などのエンタープライズアプリケーションを見ると、日本は57%が仮想環境で稼働しているのに対して、グローバルは49%となっている。また、販売や取引などのトランザクション処理の仮想化では、日本が39%に対して、グローバルは28%となっている。

 サーバ仮想化という点では、意外にも日本の方が進んでいるとも言えるかもしれない。この状況について朝倉氏は「サーバの仮想化は成熟していると言えるかもしれない。関心は、仮想環境でのアベイラビリティ(可用性)に移りつつある」と説明している。グローバルで重要項目にサーバ仮想化が挙げられているのは、もっとサーバ仮想化を進めて、企業システムの全体最適化を図ろうという意識の表れと見ることができるだろう。

 その一方で日本の場合、データアーカイビングを重要視している。このデータアーカイビングは、バックアップとは異なり、データや文書、メールといったものを、当局から要請されたら即座に提出できるような仕組みだ。

 たとえば米国の場合、そうしたデジタル形式の文書に法的価値が認められており「eディスカバリー」(電子証拠開示)といって、裁判所の要請があった場合に即座に提出する仕組みがある。対応できない場合は、法的に罰せられることになっている。日本でデータアーカイビングを重要視しているのは、そうした仕組みをまだ構築できていないということの表れととらえることができる。

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