2011年、最新のスマートフォン端末が続々と発表・発売された。コマーシャルのおかげか、スマートフォンという言葉よりもAndroidという言葉が独り歩きしている様子を目の当たりにしてしまうこともあるが、いずれにせよスマートフォンが浸透していき、選択肢も広がっていることは確実だ。
インターネットで検索してみると、スマートフォン購入者や購入希望者に関する様々なデータを閲覧できる。筆者も様々なデータを見てみたが、スマートフォン購入のモチベーションや購入時に重視する点などは、どのデータを見ても同じような傾向を示しているように見受けられる。
購入において重視されるのは、やはりデザインだ。つまり、カッコイイかどうかである。続いて操作性が重要になるようだ。スマートフォンを使うモチベーションで、最も多いのは様々なPC用Webサイトを利用できること。次いで、色々なことができるアプリケーションの多様性という2点が挙げられる。このため、ユーザーにとっては、端末の“操作性”が重要であることが分かる。
Android端末に限って言えば、各事業者とも主要メーカーのデバイスがそろってきた感があるが、端末ごとの違いなどはあるのだろうか。
Android OSの違い
通信事業者各社で提供される端末に関して、メーカーやAndroidのバージョンの分布を見てみよう(表1)。
同じ事業者かつ同じメーカーであっても、選択する端末によってAndroidのバージョンが異なることが分かる。
Android OSのバージョン違いは、実は大きな問題である。これまでのWindows OSのように、OSのバージョンアップには機能改善と不具合の修正が含まれている。Androidも例外ではなく、より新しいバージョンの方が機能もセキュリティ状況も良好だ。実際にAndroid 2.2以降では、大きな改変が施されている。
具体的にいくつか例を挙げてみよう。
- 管理機能の拡充
(1)リモートワイプ(WIPE)機能の実装
(2)パスワードの長さ制限などを実装
(3)端末ロックの開放パスコードにアルファベットを利用可能に - バッテリ消費量の低減
- 悪意のあるWebページを閲覧しただけで任意のコードを実行できてしまうWebKitの脆弱性に対応
いずれも、通常の使用や運用におけるセキュリティの確保に大きな影響を与える変更である。
通信事業者でメールに関する仕様が違う
日本では当たり前になっているSIMロックは、海外ではほとんど存在しない。これは日本独自ともいえる、通信事業者による囲い込みモデルが影響している。技術的には、通信方式と周波数の互換性が各通信事業者間でほとんどないことも問題の一つになっている(表2)。
このような背景もあり、通信事業者ごとに独自のガラパゴス的なサービスが展開されてきた。スマートフォン市場に入ってきて、その独自性がセキュリティ面での差を生み出す大きな原因となっている。
例えば、スマートフォンで使用するいわゆる携帯メール。携帯メールには大きく、SMS(ショートメッセージサービス)とEメールの2種類がある。
- ショートメッセージサービス
(1)NTTドコモ:SMS
(2)au:Cメール
(3)ソフトバンクモバイル:SMS - Eメール
(1)NTTドコモ:spモード メール
(2)au:Eメール
(3)ソフトバンクモバイル:S!メール
国際的にはそれぞれSMSとMMS(マルチメディアメッセージングサービス)と呼ばれており、データの保管形式にも標準がある。ソフトバンクモバイルではSMSもMMSも標準的な実装がされているのだが、残念ながらNTTドコモとKDDI(au)では独自仕様だ。
NTTドコモの場合、SMSは国際標準にのっとっているが、SPモード/i-modeはプッシュ型電子メールでMMSとは実装が異なり、メッセージの保存形式も独自である。auの場合にはCメールもEメールも国際標準とは異なる。メッセージ保存形式も独自だ。