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 本連載はコミュニケーションに関わる問題を解決する手法を、架空の飲食チェーン「縁(えにし)」グループを題材に探っています。今回は会話スタイルの差(ギャップ)がテーマです。会話スタイルのギャップを埋めないままコミュニケーションを進めようとすると、人間関係にトラブルを招きがちです。

 前回、販促担当マネジャーの向井みなみは、来店促進のためにクラウドサービスを導入することについて、コスト削減にも役立つことを訴えて経理部長の了解を取りつけました。今度はITを生かした販促策への協力を現場の店長たちから得ようとしています。舞台となるのは「縁」グループ本部、SNSのファン専用ページ「Enishiページ」の現況を店長たちに報告する中間報告の会場です。

課題:ITを使った販促策を説明しようにも、相手が聞く耳を持たない

 向井は、Enishiページの状況と成果の説明を始めました。

「皆さんのご協力のおかげもあり、Enishiページは多くの反響が得られています。ファンが3000人を突破し、投稿もたくさん寄せられています。SNSプロジェクトの目標の1つである、ファンとのコミュニケーションの活性化は達成できました。ありがとうございます。続いて、これらの3000人のファンに対し、新しいITツールを活用して来店を働きかけたいと思っています…」

 向井の話が途切れたかどうかというタイミングで、銀座店のベテラン店長、新井が口を挟んできました。

「3000人のファンというが、それかがどれだけ売り上げに貢献してくれたんだ。少なくとも銀座店では効果を感じていない。それなのにさらにITに投資する? その原資はどこから出すのか。何でもチラシの配布を減らして捻出するらしいじゃないか。チラシを減らしたらますます客が減る。年末年始のかきいれ時だというのに、本部はいったい何を考えているんだ。売り上げ目標を達成できなかったら我々店長の責任になるというのに」

 まくし立てる新井。他の店長も発言しないものの、同感という表情を見せています。

「会話の流れを穏やかにしなければ、聞く耳を持ってもらえないな」。向井は話の流れを変えるべく対策を講じます。