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(1)「IT経営」はITと経営が融合した言葉である

 まず、経営者が「IT経営」を言葉から理解・納得するように務めてください。「IT経営」は、「IT」と「経営」というそれぞれ別のものが単純にいっしょになった仕組みではなく、融合した仕組みを示しているとイメージしてもらうようにします。

 ITが経営と融合する、あるいは経営がITと融合する、究極的にはITと経営が同化するといったようにいろいろなアプローチで、経営者には「融合」に対する理解を深めてもらうことができます。主に三つのアプローチがあります。

(a)ITからのアプローチによる融合
 業務処理システム(業務ソリューション=課題解決型システム)やネットワークなど多様なITの利活用を前提に個別課題解決の目標と優先度を決めるアプローチです。ITメーカー系やIT開発ベンダー系の事業者が提案するケースが多いと思います。IT導入を至急の課題としているユーザー企業は、ITからのアプローチが理解しやすいと思います。

(b)経営からのアプローチによる融合
 経営改革を前提に経営戦略を明確にすることを基本に、経営課題の解決手段としてITを利用するアプローチです。ITコーディネータ系の事業者が提案するケースが多く、前記Q1のアプローチはこれになります。大多数のユーザー企業の経営者、幹部、実務者は実務から発想し、経営からアプローチした方が理解しやすくなります。

(c)同化にまで発展した融合
 前述した(a)(b)の発展・究極型と言ってよいもので、IT経営が定着すると、経営およびITのすべてが一体化されて企業の中核の仕組みになります。

 (a)(b)(c)のいずれも、課題を選択して目的と成果と期間などを明確にして全社的な情報システムの実現を目指すものです。

単にITを使えば実現するものではない

 IT経営は、単にITを使えば実現するものではありません。近年では、中堅中小企業を含めてほとんどの企業がパソコンを導入して、何らかの業務処理を行っていますが、大抵は作業を効率化する道具として部分的にITを使っているだけです。そのような単なる作業の部分最適化は「IT経営」、すなわち「ITと経営の融合」とは呼びません。

 IT経営は、前述のように経営戦略・IT戦略を策定して計画・目的・効果などを明確化し、IT導入を行うことです。

 「IT経営」という言葉を少し変えると「IT手段」と「経営戦略マネジメント」の融合と言うことになります。図1のような大枠で理解するとよいでしょう。

図1●「IT経営」は「IT手段」と「経営戦略マネジメント」の融合
図1●「IT経営」は「IT手段」と「経営戦略マネジメント」の融合
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