NC特集2
目次
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クラウドコンピューティング
八つの“新しい”真実
あっという間に広がった「クラウドコンピューティング」という言葉だが、よく言われるように「ネットを介してサービスが提供される」ことでは新しくもないし、そこに本質はない。クラウドの真の新しさはどこにあるのか。クラウドという新しい言葉で表現するに足る真実を、本誌が八つ厳選した。(中田 敦)
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グーグル対MS、三番勝負
グループウエアと検索で激突
米グーグルと米マイクロソフトが、互いに相手の牙城に切り込む攻防を繰り広げている。マイクロソフトが支配的なグループウエア分野で、グーグルが新サービス「Wave」を披露。ネット検索分野では攻守が交代し、マイクロソフトが新検索エンジンを投入した。企業内検索でも火花を散らす。両社の戦略を検証した。(玉置 亮…
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売上高4兆円を死守せよ
NEC、営業改革の全貌
「営業の頑張りで4兆円割れを防げ」。NECの全営業担当者に大号令がかかっている。赤字転落した業績の黒字化は必達事項だが、一方で売り上げの減少傾向に歯止めをかけることも急務。今後のNECの成長を支える柱となる営業改革は実を結び、売り上げと利益の二兎を追うことはできるのか。(島田 昇)
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高まる契約がらみのリスク
古くて新しい“落とし穴”
開発失敗の責任の所在を巡って裁判に発展、契約内容が一因でプロジェクトを中止――。ともに最新の実例だ。「発注元が陥りやすい契約の落とし穴」は従来から指摘されてきたものがいくつもある。にもかかわらず契約がらみのトラブルが後を絶たない。最新事例を基にその理由と解決策を探った。(大和田 尚孝)
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すべての画面を押さえる
アドビのFlash普及戦略
米アドビシステムズが「全デバイス制覇」に向けて動き出した。非パソコン機器のコンテンツ作成・表示技術の標準にFlashを推す。そのやり方はパソコン時代の勝ちパターンと同じ。今年から来年初めにかけて稼働環境を無償配布する一方で、自らは開発者支援に徹する。勝算はあるのか。戦略を検証した。(玉置 亮太)
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ケーススタディ 「イオン」
誰でも30分で使える「操作性」 決め手はタブレットPC
イオンは、専用ペンで操作するタブレットPCを使って店頭でギフトの申し込みを受け付けるシステムを開発し、全国550の店舗で昨年末から利用を開始した。パソコン操作に不慣れなベテラン社員が接客に集中できるよう、とにかく端末の使いやすさを追求した。繁盛店などでの実地テストによる1年余りの試行錯誤の末、誰でも…
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先行グーグルをMS、IBMが追撃
クラウド版グループウエア実力診断
「クラウド版グループウエア」の覇権争いが、にわかに激しさを増してきた。圧倒的な価格性能比で市場を切り開いたグーグルを追って、マイクロソフトと日本IBMが対抗サービスを投入した。中堅事業者もサービス強化に余念がない。料金、サポート、SLAなど、企業導入のポイントを検証した。(玉置 亮太)
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トンネルに入った日本IT産業
事業モデルの変革が急務
グローバル規模の経済危機が日本のIT産業を大きく揺さぶっている。これまで放置されてきた産業構造やIT活用の問題点が一挙に吹き出した。日本のIT産業の存続をかけて危機を乗り越えるモデルを確立し、実施に移さないと、トンネルを抜けた先に新しい景色は見えない。(北川 賢一)
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NGN、1年目の試練と挑戦
先行企業は信頼性とコストで選択
NTT東西地域会社がNGN(次世代ネットワーク)の商用サービスを開始して1年が経過したが、企業向けの契約数は3ケタに達した程度である。先行企業はQoSや回線識別認証といったNGNの“特徴”ではなく、信頼性や低コストでNGNを選んでいる。NTTは、「NGN経由のSaaS利用」など企業導入を後押しするメ…
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モバイル通信は“全部お任せ”
続々と登場するMVNOの選び方
ここ最近、携帯電話会社でない企業が携帯データ通信サービスを提供する例が目立つ。企業向けでもITベンダーが相次いで参入し、サービスの選択肢が増えてきた。パソコンやスマートフォンからイントラネットに接続する環境の運用管理を“丸投げ”できる。競争激化によるサービス内容の洗練や料金値下げが期待できそうだ。(…
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完遂!株券電子化
「船頭300人」の奮闘
300を超える組織間の利害を調整し、4000万件のデータを名寄せ。株券電子化のシステム対応プロジェクトだ。何度も遅れが指摘されながら、無事に完遂した。「船頭多かれど船山に上らず」となったプロジェクトの延べ1000日におよぶ軌跡を明らかにする。(玉置 亮太)
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嫌でもBI
いつまで手作業を続けるのか
「昔は電子メールを使わずに仕事をしていたのに、今ではないと仕事ができない」。実は、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールも多くの企業にいまだ残る手作業を合理化するものである。経済危機を受け、BIツールはメールと同様の地位を獲得しつつある。最新事例で紹介する。(吉田 洋平)
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再生なるか 日本IBM
橋本・新社長が挑む“日の丸IT市場”
2009年1月1日、日本IBMのトップが9年1カ月ぶりに交代した。大歳卓麻社長兼会長(60)は代表権のない会長に退き、代わって橋本孝之取締役専務執行役員(54)が社長に就いた。 「日本の顧客のニーズにしっかり応えていきたい」。大納会も終わった2008年12月30日午後4時半から開かれた緊急会見で、…
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J-SOX追い込み
ゴールは報告書の作成
日本版SOX法(J-SOX)への対応がカウントダウンに入った。最も早い3月期決算の企業にとっては残り3カ月。“どこまでやればいいか”の明確な基準がないだけに悩んでいる企業は多い。対応が進んでいても、この時期にすべきことを見失っては最後につまずきかねない。一方で追い込みをかけている企業は集中すべきこと…
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デスクトップもクラウドに
仮想化使い「DaaS」始動
すべてが「クラウド」に集約される動きが、ついにユーザーのデスクトップ環境にも及んできた。仮想デスクトップ環境をサービス事業者のサーバー上に置き、ネットワーク側で実行する「DaaS」(デスクトップ・アズ・ア・サービス)だ。2009年のサービス開始を目指し、サービス事業者やソフトベンダーが準備を進める。…
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「医療崩壊」をITが救う
電子カルテの活用法が鍵
医療崩壊が叫ばれて久しい。医師偏在による地方の医師不足、経営不振による病院の閉院など、問題は山積みだ。「カルテ情報の電子化」「レセプトのオンライン化」といった医療機関のIT化は、こうした問題を解決する糸口となり得る。ITの活用で医療はどう改善できるのか―医療機関、行政、ベンダーの取り組みから明らかに…
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コスト削減に効くデータセンター刷新
ITインフラのスリム化へ最大の障害を取り除け
これまで各システムごとに構築・運用していたITインフラを見直す企業が増えている。異なる場所にあったデータセンターを統合し、サーバーを集約する動きだ。災害対策や運用効率化など、ITインフラに求められる要件が増えてきたことが背景にあるが、特にコスト削減が緊急課題だ。その際にネックとなるのがデータセンター…
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品質向上は発注力の強化から
東証、世界に挑む300億円プロジェクト
2009年後半の稼働を目指す東京証券取引所の次世代システム「arrowhead」。システム障害を踏まえ、品質確保を最優先にプロジェクトは始まった。システム開発における発注者の役割を抜本的に見直し、要件定義と外部設計は従来の3倍の工数をかけた。実装フェーズが完了した今、プロジェクト責任者に具体的な取り…
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「上流工程=高収入」が明確に
3万人調査に見るITエンジニアのスキルと年収
コンサルタントやITアーキテクトといった上流工程の職種は、年収アップに有利──。ITエンジニア約3万人の調査から、こんな実態が浮かび上がってきた。一方、スキルレベルの向上に学歴は関係ないということが明らかになった。(高下 義弘)
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知られざる先進業界「地銀」にみる システム共同化の真実
SaaSやクラウドコンピューティングなど、システムを持たずに使う動きが活発化している。だが普及はこれからだ。そうしたなか一足先に基幹システムを手放すことに成功した業界がある。地方銀行だ。全国108行(10月14日時点)の8割近くが勘定系を共同化している。コスト削減効果はどの程度か。不自由はないのか。…