1台のPCサーバー上で複数のOSを稼働させる「サーバー仮想化ソフト」の利用が広がっている。サーバー統合のニーズの高まりから大手ベンダーが担ぎ始め、実績が出てきたことが大きい。インテルとAMDは来年前半までに、仮想化ソフトを高速化する機構をプロセサに組み込む。仮想化ソフトは本当に実用に耐えるのかを検証した。

(広岡 延隆)


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 「数年前は安定性などに疑問があったが、昨年末に評価したら実用的と判断できた」。医薬品大手のツムラからシステム開発・運用を請け負っているダイヤモンドコンピューターサービス(DCS)は、この評価結果を基に米ヴイエムウェア製サーバー仮想化ソフト「VMWare ESX Server」を用いたサーバー統合をツムラに提案。今年度中に200台のサーバーを160台まで減らす。大和証券グループ本社は昨年12月、ESX Serverを利用してファイル/アプリケーション・サーバー計11台を3台に集約。新生銀行も今年4月から開発環境にESX Serverを導入し、6000万円のコスト効果を上げた。

 仮想化ソフトを使ったx86系PCサーバーの統合事例が急増している。目的は、運用コストの削減や既存システムの延命など。安定稼働のため、1サーバーに1アプリケーションだけを動かすのが当たり前のPCサーバーでは、システムが増えればサーバーも増え、管理や運用のコストが跳ね上がる。Windows NTといった古いOSのサーバーをリプレースしようと思っても、最新機では動かないケースがある。

 仮想化ソフトを使えば、そうした悩みを解消できる。実際、ヴイエムウェアの今年の仮想化ソフト出荷数は「3ケタの後半で前年比3倍」(広報)で、昨年12月にVirtual Server2005を出荷したマイクロソフトも「予想以上の売れ行き」(サーバー プラットフォーム ビジネス本部)だ。

 もちろん、サーバーの仮想化は目新しい技術ではない。メインフレームや高性能UNIX機では以前からあり、ヴイエムウェア製品は2001年から販売されている。それが今、注目を浴びているのは、先進企業が実績を積んだことと、ベンダーが相次ぎサポートを打ち出したことが大きい。

 仮想化ソフトはハードウエアをエミュレートする分、性能が落ちる(図1)。それを補うマシンの性能はどれだけ必要か、それでもメリットがあるのかといったノウハウをベンダーは蓄積してきた。一方で、仮想化ソフト上のWindowsはマイクロソフトのサポート対象外のため利用しづらかったが、NEC、日本IBM、日本ヒューレット・パッカードなどが相次いで仮想化ソフトのサポートを表明。富士通や日立製作所も、「顧客の要望は強く、サポートする方向で検討している」(広報)。

 今年3月にはLinuxに特化した仮想化ソフト「Virtuozzo」を開発・販売する米SWsoftが日本法人を設立。レッドハットやノベルが、企業向けLinuxディストリビューションにオープンソースの仮想化ソフト「Xen」を搭載するなど、選択肢も増えた(表1)。

 では、仮想化ソフトは本当に実用的なのか。各社の製品の違いはどこにあるのか。検証した。

特権命令の変換がオーバーヘッドに

 仮想化ソフトで動かすと性能が落ちるのは、どのようなアプリケーションか、仮想化ソフトの採用で何ができるのか。仮想化ソフトの仕組みを理解すれば、これらが見えてくる。


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