りそな銀行は今年9月、旧大和銀行と旧あさひ銀行のシステムを完全統合した。実質国有化をきっかけに過去のしがらみを断ち切り、勘定系の片寄せ方針を変更、大手銀行の勘定系で実績のないNTTデータを抜擢した。経済合理性を貫いた総額450億円の統合プロジェクトの軌跡を追う。

(大和田 尚孝)


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写真●りそな銀行への移行を直前に控えたあさひ銀行の店舗
図●りそなのシステム統合における大方針と、それを実現するための具体策
 衆議院選挙翌日の9月12日。自民党圧勝の結果に国民の関心が集まっているころ、りそな銀行の「統合システム」は、合計5回の移行作業を経て、静かに動き出した。総額450億円、1万6000人月をかけて挑んだプロジェクトが完了した瞬間である。

 このプロジェクトのポイントは、開発規模が1万6000人月に及ぶ巨大プロジェクトを、スケジュール通りに、大トラブルもなくやり遂げたことだ。成功の要因は「経済合理性」という判断基準を貫いたことと、プロジェクト体制の整備や移行方式の検討など、計画段階での準備を徹底したことにある。

 りそな銀が掲げた「経済合理性」を具体的に表現すれば、「安く、早く、うまく(安全に)」(田中卓執行役システム部長)となる。コストは安く、開発期間は極力短く、システムの安定稼働を目指す、という意味だ。

 これはどのプロジェクトにも当てはまる方針ではある。だが、りそな銀は銀行合併に伴う“政治的”な判断を排除し、例外を許さずに方針を徹底したのである。

理想像を基に統合方針を再検討

 例えば2003年12月に発表した、システム統合方針の見直し。もともと大和銀行主導で関西の地銀と経営統合を進めていたところに、あさひ銀行が後から合流した経緯から、当初は大和銀行のシステム「NEWTON」をベースに統合することが決まっていた。業務の流れを、統合を推進する側、つまり大和銀行に合わせることが、統合参加の条件の一つだったからだ。

 しかし、2003年5月の実質国有化を機に、方針の見直しが始まる。真っさらの状態から、システムのあるべき姿を一から検討し直すプロジェクト・チームを発足。システム部門だけでなく、ユーザー部門の社員を交え、野村総合研究所のコンサルティングを受けながら、将来のシステム像と、それを実現するために最適なシステム統合方針について、議論を重ねた。

 将来のシステムについては、新商品のシステム開発を短期間かつ低コストで実現可能な、柔軟性の高いシステムが理想であるという意見で一致した。それには、1000万ステップを超えるとも言われる巨大な勘定系システムを機能別に解体し、「ハブ・アンド・スポーク型のシステム・アーキテクチャに変えなければならない」(田中執行役)。


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