PR

米サンフランシスコにおいて2月5日~9日に開催されたISSCC(国際固体回路素子学会)で、米インテルと米AMDがサーバー用x86プロセサをそれぞれ発表した。両社とも消費電力を抑えつつ性能を高めた。加えてAMDは、仮想化技術での巻き返しを図る。


本記事は日経コンピュータ 2月20日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 インテルが発表したのは、「Tulsa(開発コード名)」と呼ぶx86ハイエンド・サーバー向けCPUの技術。現行のデュアルコア・プロセサXeon 7000の後継として2006年後半の投入を予定する(図)。最大の特徴は消費電力を抑えながら、性能の向上を実現したことだ。

 Tulsaでは、動作周波数を3GHzから3.4GHzに引き上げたほか、CPUコアとメモリー・コントローラの間にあるL3キャッシュを16Mバイト搭載した。これにより、Tulsaのトランジスタ数は13億2800万個に上り、x86プロセサとしては過去最大となった。そのうえで今回、65nmという製造プロセスを採用。熱設計電力(設計時に想定する発熱量)を現行の165Wから150Wに減らした。

 これに対しAMDは、熱設計電力は現行と同じ95Wのままで、動作周波数を従来の2.4GHzから2.6GHzに引き上げた。外部メモリー・バスを、高速ながら消費電力が小さいDDR2メモリーに対応させることで実現した。AMDは、性能よりも消費電力の少なさでインテルと差異化する戦略だ。

 ISSCCにおける両社の発表で、もう一つの注目点が仮想化技術である。複数OSを一つのコンピュータで動かし、サーバーを統合することでシステム全体のコストや消費電力を低減できるとして期待されているものだ。

 仮想化への取り組みで先行してきたのはインテル。すでに「Virtualization Technology(VT)」という技術をXeon 7000シリーズに組み込んでいる。ただ、BIOSを含むシステムとしての検証に時間がかかり、サーバー・メーカー各社は、VTの機能を使ってこなかった。それも最近は、米HPなどがVTの機能を有効にするBIOSを配布し始めた。今春以降には、VT機能を最初から利用可能にしたサーバー製品の発売が本格化するとみられる。

 仮想化技術での遅れをばん回するためにAMDは、「Pacifica(開発コード名)」というVT互換のCPU仮想化技術を、今回発表した次期プロセサに組み込んだ。Pacificaを組み込んだプロセサは、今年半ばにも出荷が始まる。今年末から来年初頭にかけてPacifica対応サーバーが登場することになる。

 さらにI/O部分を仮想化する技術「IOMMU(I/Oメモリー・マッピング・ユニット)」も、AMDは発表した。入出力機器を直接操作するアプリケーションを、仮想マシン上で動作可能にする。ネットワーク処理の高速化や、データベース管理システムのデータ・アクセスの最適化などが期待できる。AMDはIOMMUを、Pacifica と同じタイミングでCPUに組み込みたい考えである。

 消費電力競争に加え、仮想化技術においても、両社の争いはますます熱くなりそうだ。

(北郷 達郎)