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経済産業省は、ユーザー企業の情報システム部門のスキルとキャリアを定めた「UISS」の暫定版を公開、パブリック・コメントの募集を開始した。ITベンダー向けの「ITSS」、組み込み業界向けの「ETSS」と合わせて、情報サービス産業におけるスキル標準が、一通り出そろう。


本記事は日経コンピュータ 5月15日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 「情報システムは企業活動に直接影響を及ぼす、極めて重要なインフラになった。ユーザー企業の情報システム部門に固有の業務である調達や評価、利活用、人材育成などに役立ててもらいたい」。経産省の鍜治克彦 商務情報政策局情報処理振興課長は、UISSの意義をこう説明する。

 UISSはUsers’Information Systems Skill Standardsの略。情報システム部門における人材育成の目安となる、人材像とスキル・レベルを定めている。経産省はこれまで、「ISSS(Information Systems Skill Standards)」の仮称で、内容を検討してきた(本誌3月6日号、15ページを参照)。ユーザー企業向けという意味合いを明確にするため、4月21日付で名称をUISSに改めるとともに、6月の正式版発表に向けて暫定版を公開した。

 UISSではまず、情報システム部門が果たすべき役割(タスク)を定めている。タスクの全体像が、「タスクフレームワーク」だ(図)。IT関連スキルだけでなく、企業経営や業務分析、ベンダー・マネジメントといった、「情報システムの発注者に必要な役割を整理した」(鍜治課長)。全社の事業戦略に基づく情報化戦略の立案から、個別の情報システムの企画・開発・運用、活用と評価などである。

 その上で各タスクに基づいて、情報システム部門の職種を定義している。情報化戦略を立案する「ISストラテジスト」や、複数のプロジェクトをマネジメントする「プログラムマネージャ」、情報システムの企画と評価を担う「ISアナリスト」など10職種である。

 これらの職種にタスクを関連付けることで、各職種の人材像を明確化した。例えばISストラテジストならば、図に示したタスクのうち、最上流行程であるIS戦略立案と、活用を開始した後のIS戦略評価を、主に担う。これらのほかにも、事業戦略立案やIS戦略実行マネジメントといったタスクを、サブ的な役割として関連付けている。

 情報システム部門が担うべき10職種に加えて、UISSでは情報システム部門を側面から支援する人材の職種も定義している。具体的には、人事・総務部門やコンプライアンス部門を想定した「ISスタッフ」、セキュリティ・ポリシーの策定を担う「セキュリティアドミニストレータ」、システム監査を担う「ISオーディター」である。後の2職種は、暫定版で追加された。

 経産省はUISSの普及を図るとともに、「各スキル標準と情報処理技術者試験が、総合的な人材育成ツールとして機能するような仕組みを検討する」(鍜治課長)。例えば、各スキル標準におけるスキル・レベル評価に、情報処理技術者試験を利用できるよう、対応関係を整備するとみられる。

 パブリック・コメントの募集期間は5月22日まで。経産省のWebサイト(http://www.meti.go.jp/feedback/)で受け付けている。

(玉置 亮太)