業務の流れ(ビジネス・プロセス)を図式化して定義し、それをシステムで解釈・実行することにより、複数の業務にまたがる処理をスムーズかつ確実に実行する―BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)の効果に気づき、実行に移すユーザー企業が増えている。先進企業の取り組みやBPMツールの最新動向を中心に、「BPMの威力」を探った。

(矢口 竜太郎、田中 淳)

なぜBPMにたどり着いたのか
進み始める“BPMシフト”
ツールを使えばここまでできる


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図●BPMのメリット。大きく三つのメリットがある
 「なぜあの会社は、そんなに早く納期を回答できるのか」――。競合企業の担当者はこう漏らしたという。

 “あの会社”とは、小型液晶ディスプレイなど、電子部品大手のセイコーインスツルのこと。熾烈な新製品開発競争が展開される携帯電話業界において、要注目の1社だ。同社は、端末機メーカーからの納期回答要求に返答する期間を、従来の3日から最短4時間にまで縮めることに成功した。その鍵が「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)」にある。

2006年はBPM元年

 業務の流れ(ビジネス・プロセス)を図式化して定義し、それをシステムで解釈・実行することにより、複数の業務にまたがる処理をスムーズかつ確実に実行する―BPMを簡潔に言えば、こうなる。

 今、セイコーインスツルに限らず、BPMに取り組む企業が増えている。アサヒビール、KDDI、日本テレコムなどだ。例えばKDDIのau事業部は、BPMを活用して携帯電話向けWeb関連サービスを新規投入するまでの期間を従来の3分の2に短縮した。

 ビジネス・プロセスを作成したり、その結果をシステムで実行可能にするためのツール(BPMツール)を提供するベンダーも、自社製品の機能強化を急ピッチで進めている。例えば日立製作所やIDSシェアー・ジャパンなどの主要ベンダーは3月から5月にかけ、利用部門自身が使えるように改良を施した新版を投入した。需要拡大を見込んでの動きだ。

 この4月には、BPMの普及啓蒙活動を進める「日本BPM協会」が発足している。同協会の秋山守由 会長は、「米国に遅れること数年、日本でもようやくBPMを導入・活用する機運が整ってきた。2006年をBPM元年と位置づけている」と意気込む。

 その機運とは、景気回復によるIT投資の回復、業務変化への素早い対応などのほか、やはり日本版SOX法(企業改革法)の施行が近づいていることが大きい。業務処理統制には、ビジネス・プロセスの見える化(文書化)が必須になるからだ。

 こうした状況を見る限り、BPMは今後取り組むべき重要なテーマに思えるが、本当にそれほどうまくいくのか、疑問も残る。事実、“BPMの前身”とも言えるワークフローは、騒がれたわりに定着しなかった。ほかにも、話題にはなっても消えていったITキーワードが少なくない。

 そこで本特集では、先進企業の取り組みやBPMツールの最新動向を中心に、「BPMの威力」を探る。


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