オープンソース・ソフトの勢いに陰りが見え始めた。オープンソース・ソフトで最も代表的なLinuxも、サーバーOS市場での成長が鈍化し始めている。実際にオープンソースを使った企業の感じた失望感が、こういった状況の背景にある。果たして企業はどうオープンソースと付き合うべきなのか。NTTグループ、住友電気工業、三菱東京UFJ銀行などの取り組みを取材し、今後を探った。
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オープンソース・ソフトの勢いに陰りが見え始めた。調査会社の日経マーケット・アクセスが今年2月に公開したユーザー企業へのアンケートによると、全体の50.6%の企業が、「オープンソース・ソフトを利用する予定はない」と答えている。1年前の同じ調査では、「利用する予定がない」と答えた企業は39.3%だったから、全体の1割以上がオープンソースへの関心をなくしたことになる。
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図●オープンソース・ソフトとベンダー製品とのコスト比較。早稲田大学の「履修科目申請システム」を例に年間の保守コストを試算した。総コストで見ると、1年目はオープンソース・ソフトのほうが安いが、2年目以降は逆転する |
オープンソースはソース・コードを公開しており、一定の条件を満たせば自由に利用・改善できる。商用ソフトよりも安価で、特定ベンダーに依存せずにシステムを開発できるという期待があった。
だが実際には、企業が長期間にわたって使い続けるには、さまざまな有償サポートが必要になる。事前の動作検証やソフトの品質改善を、コミュニティに任せるのは難しい。
そのギャップをベンダーが埋めている。有償サポートを提供する米レッドハットの技術者は、「我々の活動はわき水をボトルに詰めて家庭に届けるようなものだ」と説明する。だが、そのサービス内容に不満を持つ企業もいる。
果たして今、オープンソースの世界で何が起きており、企業はどう付き合っていくべきなのかを探った。
続きは日経コンピュータ2006年11月13日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。