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米アマゾン日本法人は早ければ来春にも、サーバーのリソース貸し事業を開始する。現在、ベータ版を提供しているサービスで、必要な時に利用するサーバー台数を増減できる。ECサイト事業で培ったサーバーの冗長化技術や運用ノウハウを、新たな事業の柱に育てたい考えだ。


本記事は日経コンピュータ 12月25日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 アマゾンジャパンが投入するのは、「Amazon Elastic(弾力性のある) Compute Cloud(EC2)」。米本社などが展開するECサイト「Amazon.
com」、「Amazon.co.jp」が稼働しているサーバー環境を一般企業に提供するサービスだ。同社が1500億円以上とされるコストを投じたITインフラを、アマゾンが持つ運用ノウハウ込みで利用できることになる(図)。

 EC2では、必要な時にサーバーの処理能力を高められる。料金は利用したサーバーの台数×利用時間で課金される。ECサイトで商品を購入するように、オンライン・サインアップだけでサーバーが利用可能になるのも、EC2の特徴だ。米アマゾンのWebサービス・エバンジェリストであるジェフ・バー氏は、「利用開始前の打ち合わせや契約が煩雑な、ITベンダーが提供する既存のサーバー貸しサービスとは、大きく異なる」と強調する。

 アマゾンがITサービス事業に本腰を入れる背景には、米グーグルや米ヤフーのように、強大なITインフラや蓄積したデータをインターネット上に公開するサービス・ビジネスが成り立ち始めたことがある。アマゾンにしても、便利なネット・サービスにより顧客数を増やすことで、ネットでの影響力を強め、物販に続く主力事業に育てたいわけだ。

 EC2は、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」をベースにアマゾンが独自開発した仮想化技術を使っている。仮想サーバーは1台単位で増減できる。ユーザー企業は、利用したいアプリケーション・ソフトを含む起動イメージ・ファイルを作成・アップロード。それを基に、必要な台数の仮想サーバーを起動する仕組みだ。利用可能なOSはLinux とWindowsである。

 ただし、サービス開始時点で利用可能な仮想サーバーが設置されるのは、米国内にあるアマゾンのデータセンターだけ。日米間の通信回線に障害が発生するなどすれば、利用できなくなる可能性がある。サーバー環境は強固であっても、100%安全だとは言えない。

 そのためアマゾンは今後、「サーバーを動かすデータセンターを世界各地にある複数拠点から選択できたり、より性能が高い仮想サーバーを利用できるように、サービス・メニューを強化していく」(バー氏)としている。

 EC2のサービス料金は、ベータ版が仮想サーバー1台につき1時間10セント。24時間365日では876ドル(約10万円)になる計算だ。2006年12月末時点では、正式版の料金体系は決まっていない。

(福田 崇男)