開発に5年をかけたマイクロソフトの新パソコン用OS「Windows Vista」の企業向け出荷が、2006年11月末から始まった。3次元処理を取り入れた新ユーザー・インタフェース、多階層で強化したセキュリティ、導入作業の簡素化などを実現し、同社は「これまでで最高のOS」と言い切る。ただし、マイクロソフトの意気込みとは対照的に、現時点で企業のVista導入意向はまだ低調だ。導入についてのアンケートを実施した結果、具体的に検討している企業は全体の4割弱にとどまることが分かった。

「Windows Vistaは、過去のWin-dowsの中で最も優れた製品だ。ユーザー・インタフェースに様々な改善を施し、OS全体の使い勝手も大幅に改善した」。
5年ぶりの新OSについて、マイクロソフト日本法人のダレン・ヒューストン社長はこう意気込む。
同社で企業向けにVistaを販売する中川哲 Windows本部ビジネスWindows製品部長は、「Aeroに代表されるユーザー・インタフェースに目が向きやすいが、Vistaでは企業向けの機能を大幅に強化した。実際にベータ版のVistaを使った企業の大半が出来に満足してくれている」と加える。
マイクロソフトの自信はあながち独りよがりとは言えない。調査会社のガートナー ジャパンでクライアントOSのリサーチを担当する針生恵理アナリストも、「当初計画していた新ファイル・システムなどの機能はなくなったが、VistaはWindows XPに比べて多くの点を強化している。Windows 98からWindows 2000以来のメジャーバージョンアップと位置付けられるものだ」との見方を示す。
企業向けに四つの利点
セキュリティを重点強化
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図1●Windows Vistaの主な企業向け強化点 |
なかでも力を入れたのはセキュリティだ。飯島圭一Windows本部ビジネスWindows製品部シニアプロダクトマネージャは、「現在のセキュリティ・リスクは複雑化して、単一機能で防ぎ切るのは無理だ。Vistaでは複数の機能を組み合わせた多層的な防御を採った」と話す。この方針に沿って、ファイル・システム、ネットワーク・アクセス、アプリケーション、ユーザー管理など、様々な面からセキュリティを強化している。
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