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電気配線(電力線)を使ってデータを送受信する電力線通信(PLC)モデムの企業向け製品が相次ぎ登場した。電力線があれば利用できるため、既存の無線LANに比べて設置が容易であること、通信速度が最大200Mビット/秒と高速であることが売りだ。


本記事は日経コンピュータ 1月22日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 昨年10月、総務省が規制を緩和し、屋内に限って、数M~200Mビット/秒の高速伝送が可能な高速PLCの利用を認めた。各ベンダーは相次ぎ、家庭での利用を想定したコンシューマ向けの高速PLCモデムを市場に投入したが、ここにきて企業向け製品も出てきた。住友電気工業とNEC系の東洋ネットワークシステムズが昨年12月から販売を開始。アルプス電気、きんでん、マクニカ、イスラエルのイトラン・コミュニケーションズの4社が共同で設立したPLC専門会社プレミネットが、2月から販売する(表)。

 コンシューマ向けと企業向けの違いは、最大接続台数と管理機能だ。前者はせいぜい十数台のパソコンしかつなげないが、企業向けは数十~数百台の接続が可能。住友電工の製品は、子機を用いれば、最大1000台まで接続できる。管理機能では、各製品ともネットワーク機器などを管理するプロトコルを搭載。ユーティリティを用いて、機器の状況やPLCネットワークの構成を確認できる。

 各ベンダーが想定するのは、イーサネットなどの有線LANが敷設しにくい場所での利用だ。そうなると、IEEE 802.11a/b/gといった、電波を使う無線LAN製品と競合する。価格面では、ネットワークの規模にもよるが、クライアント1台当たりのコストは無線LANのほうが安い。しかし各ベンダーとも、「無線LANに勝てる市場は少なくない」とみている。

 一つは、設置の容易さだ。電力線さえあれば、ネットワークを構築できる。無線LANのように、電波の利用できる範囲を気にする必要がない。

 東洋ネットワークは、「1フロアが広すぎて無線LANの電波が届きにくい工場やオフィス、アクセス・ポイントの設置設計が難しい形状のオフィスなどで使われるだろう」とする。住友電工は、「監視カメラ用に電気がきていれば、それを使って画像を収集するなど設備監視に向いている」とみるほか、ホテル内の宿泊者向けインターネット・サービスとしての需要を見込む。プレミネットは、ホテル向けに特化した製品を提供する。

 もう一つのメリットが、通信速度。住友電工と東洋ネットワークの製品は最大200Mビット/秒と、無線LANの4~20倍速い。両社とも「動画を安定して伝送できる」と訴える。プレミネット製品が最大2.5Mビット/秒と遅いのは、「あえて電力線に混入するノイズに強い変調方式を採用した」(プレミネット)ためという。

 無線LANのように、窓や壁を通して電波が外部に漏れることもない。ただし、電力線を通してビル内の他のユーザーに信号が伝わる可能性がある。この点は、社内や部など任意のグループを設定し、PLCモデム間でやりとりするデータを暗号化して対応する。

 またPLCは、伝送距離に応じて減衰しやすい高周波の信号を利用する。大規模なネットワークでは、電力線の状態や配線構成、外部の機器からのノイズの影響への注意が必要だ。このため各社とも自前調査をした上で、インテグレーションによる導入を基本としている。

(市嶋 洋平)