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キリンビールがグループのIT共通化に踏み出した。2007年~09年のグループ中期経営計画に沿ったものだ。柱は、「利用製品、運用規約の共通化」、「IT企画業務の集約」、「システム共同利用」の三つ。営業利益が四期連続で過去最高の同社は、さらに勢いをつける。


本記事は日経コンピュータ 2月19日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 第1弾として、キリンビールなどグループ会社約30社が利用するハードやソフトの共通化を、この1月からスタートした(図)。グループ各社が新たに導入するハード/ソフトは、パソコンやネットワーク、グループウエアなどの製品や構成を定めた標準仕様に沿う。「今年後半から本格的に進める」(キリンビール情報企画部の小原覚主査)。共通化により、システム管理の作業効率を高める狙いだ。

 併せて、セキュリティ・ポリシーをグループ共通のものとして策定した。すでに一部のグループ会社で適用を開始。各社個別だったポリシーを共通化することで、グループ全体のリスク管理を容易にする。

 セキュリティ・ポリシーは、各社が導入しやすいように3段階のレベルに分けている。最低限守る必要があるレベル1では、重要な情報資産の棚卸しや暗号化、ウイルス対策、ユーザーIDでの認証などを義務付ける。

 利用製品や規約の共通化を進める最大の狙いは、IT関連業務の集約にある。現在、キリングループ各社は、個別に情報システムを企画、構築している。製品や規約を共通にすることでIT関連業務を標準化し、かつ各社のIT担当者を1社に集める計画だ。

 その受け皿になるのが、情報システム子会社のキリンビジネスシステム(KBS)。今年3月末にも、キリンビールの情報企画部に籍を置く十数人が、KBSに移籍する。

 これは、「KBSにIT関連業務を移管する施策のゴールといえるもの」(小原主査)。キリンビールはこれまで、KBSとの分業体制を徐々に確立してきた。98年に開発・運用を、01年には仕様策定の業務をKBSに移管した。

 さらに同社は、グループ会社による情報システムの共同利用(シェアド・サービス)を計画しており、経理システムを09年末までに再構築する。独SAPなどのERPパッケージ(統合業務パッケージ)を用いることを検討中だ。

 その体制としては、07年7月の持ち株会社化を機に、経理、人事、購買などグループ各社の間接業務を、キリンビジネスエキスパートが一手に請け負う。これらのシステム運用はKBSが担う。ただ、当面、アプリケーションは各社個別のままだ。

 また、IT関連費用を各社で分担するためのルールも整備した。例えば、共用のサーバーやアプリケーションの運用費用、セキュリティ対策費用などは各社のパソコン保有台数で案分する。

 経理以外の間接業務のシステムをどこまで共有化するのか、具体的な検討はまだこれから。また、グループ各社は間接業務以外のアプリケーションを個別に持ったままになる。IT業務の集約による効果を出すには、各社の業務をどこまで共通化できるかがカギといえる。

(服部 彩子)