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部員の“やる気”向上に取り組む情報システム部門が増えている。情報システム部門内の職種ごとにスキルを定義した「情報システムユーザースキル標準(UISS)」を活用する。各人のスキルを可視化し、キャリアプランの明示や教育の効率化で、士気を高める。


本記事は日経コンピュータ 2007年3月5日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループの製薬会社であるヤンセン ファーマは、UISSを活用し、情報システム部門の教育を進める1社だ(表)。同社では、昨年12月にUISSを導入し、各部員が持つスキルを部員自身が詳細に認識できるようにした。「弱い点をどのように補っていくか、上司と話し合ってスキルの向上策を決められるようになった。本人のやる気を高められるのが大きい」。同社の情報システム部企画グループの木村純子グループ長は、UISSの導入効果をこう語る。

 例えば、“リスク管理が弱い”となれば、「講座での教育よりも、実践での訓練のほうが効果が高い。従来は、“プロジェクト・マネジメントが得意”という大きなくくりでスキルを見ていたため、効率的な教育ができなかった」と木村グループ長は振り返る。

 伊藤忠商事やKDDIはUISSを活用してキャリアプランを部員に明示することで、やる気の向上を図る。伊藤忠商事はUISSを用いて、同社が必要とするIT企画やプロジェクト・マネジメント、アーキテクトなどの人材像ごとに、レベルとそのスキルを示す。特に、若い層に効果が高いとみる。従来、情報システム子会社への出向が人材育成の中心であり、出向期間中の到達目標が明確ではなかったからだ。

 リクルートが狙うのは、社外人材との比較に用いて、やる気を高めること。「UISSの採用企業が増えれば、部員は市場でのレベルを認識できる。これまで自社の仕事をこなしてスキルをつけても、一般的にどれだけの価値があるのか分かりづらいのが、若い人のやる気を損ねていた」。同社の情報システム部門の人材育成を担当する、FIT企画室統括グループ 石川美礼氏はこうみている。

 「やる気を出させることが、人材育成の半分を占める」。IT人材の教育サービスを提供する、アイ・ティ・イノベーションの林衛代表取締役社長はこう断言する。各社の情報システム部門が、やる気向上に懸命になるのは、人材育成が急務になっているからだ。「開発力ではなく、企画力や設計力、プロジェクト・マネジメント能力が求められるようになった」とUISSを導入する計画の、ソニー生命保険の河村芳樹 業務プロセス改革本部IS企画部統括部長は語る。より上流工程の高度なスキルを持った人材の育成が、各社とも大きな課題になっている。

 UISSでスキルの可視化を図ることで、企業は情報システム部門の人員配置や、プロジェクトごとの人集めに役立てることもできる。経済産業省と日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)では、UISSをより使いやすくするために、UISSの「利用ガイドライン」と「研修ロードマップ」の策定も進めている。これらは6月から7月に公開の予定だ。部員のやる気向上を足がかりに、UISSの導入は一層広まりそうだ。

(井上 英明)