PR

東京証券取引所は、情報系のシステムに散在している各種データを一元管理する統合データベースの構築に乗り出す。システム連携をシンプルにするのが狙い。2009年に予定している次世代売買システムの稼働に間に合わせるため、2008年の完成を目指す。


本記事は日経コンピュータ 2007年3月19日号に掲載予定のレポートより、本文のみを抜き出したものです。そのため図や表が割愛されていることをご了承ください。

 東証が開発中の統合データベース「SEED」には、銘柄や顧客といったマスター・データはもちろん、注文・約定で発生する取引データ、売上高といった類の集計データなど、東京証券取引所が取り扱うすべてのデータを格納する。これによりデータの二重管理を排除。「データ項目の追加・修整にかかる作業負荷を減らし、システム全体の保守性向上につなげる」(開発運用部の清水友彦情報システム担当マネージャー)という狙いがある。

 SEEDは情報系システムの中央に配置する(図)。各システムにおけるデータ・アクセスのインタフェースを標準化することで、システム間のデータ連携を容易にする。データの蓄積や加工・更新、送受信はSEEDに集中し、業務処理は各システムが担当するというように、業務ロジックとデータ・アクセスを分離する。

 SEEDの構築は、「システムの全体最適を目指すには、データの一元化が不可欠」と断言する鈴木義伯常務取締役CIO(最高情報責任者)肝いりのプロジェクトだ。鈴木CIOは、現行の情報系システムについて、「マスター・データや取引データなどがシステムをまたいでバラバラに散らばっていて、システム全体が個別最適に陥っている」と問題を指摘する。

 例えば、システム間でデータをやり取りする際に、JISやEUC、EBCDIC、ASCIIなど文字コードの変換処理が常に発生していた。SEEDでは、文字コードをJIS形式に統一することで、コード変換などの無駄な処理をなくす。

 また、現行システムでは、データの管理責任者が明確ではなく、データの整合性にも問題があった。同じ意味を持つデータを複数のシステムでそれぞれ蓄積したり、あるデータを基に加工・集計したデータを、元のデータとは別に保存したりしているケースもあった。

 東証は2006年5月からSEEDの構築プロジェクトをスタート。NTTデータの技術者と10人弱のチームを作り、業務変化の影響を受けにくいデータモデルの設計に着手。総数210のテーブルを定義した。

 さらに、データ項目を各システムの担当者が勝手に変更できないように、一元管理する専門組織「データ管理協議会」を今年6月にも発足させる。データモデルを変更する際は、情報系のシステム担当者のほか、業務部門やIT企画部など十数人で構成する協議会メンバーの承認を得るようにする。

 SEEDの構築費用は本誌推定で十数億円。TMI(TOPIX基礎情報などの配信)やTDnet(適時開示情報伝達)などのシステムをそれぞれの刷新のタイミングで段階的にSEEDとつなぎ、2011年までに全システムをSEEDに接続する。

(大和田 尚孝)