PR

 通り一遍の対応では顧客満足度(CS)は上がらない。それどころか目の肥えた顧客に腹を見透かされ、評価を下げることにもなりかねない――。
 これが今回の「顧客満足度調査」の結論だ。13回目を迎えた本誌恒例の調査は、新たに官公庁/地方自治体と大学を調査対象に加え、過去最高となる2213件の回答を得た。
 ITベンダー各社の実力は急接近。21分野中9分野でランキング首位から最下位までが5ポイント以内にひしめいている。3年前に実施した第10回は22分野中4分野だった。システム開発・運用からハード/ソフト、ネットワークに至る全21分野の結果と合わせて報告する。


(市嶋 洋平、井上 英明)

◆「好き」と「嫌い」の分かれ道
◆順位に大変動 7部門で首位交代
◆なぜ強い どこが強い
◆全21分野の詳細データを収録


【無料】サンプル版を差し上げます 本記事は日経コンピュータ8月15日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集1」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。 なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 「期待を大きく上回ったか」「顧客に感動を与えたか」――。これが顧客満足度(CS)でより高い次元に達する道筋だ。第13回調査に寄せられた2213の声から浮かび上がってきた。

 早いベンダーでは10年以上前、遅いところでも4~5年前から全社を挙げて取り組んだCS向上運動。“できる”営業やSEのノウハウをマニュアル化したりデータベース化して、全体の底上げを図った。

 顧客の不満を定期的に調べ、一つひとつつぶしていった。「障害復旧が遅い」と言われれば、保守体制を見直した。「バグが多い」と指摘されれば、開発部隊をも引っ張り出した。

 地道な努力の積み重ねによって、顧客の信頼を一気に失うような問題案件は確実に減った。だが、それで顧客が本当に満足しているとは限らない。

 確かに全体の底上げは進んだ。システム開発関連サービスのメーカー部門を見ると、ほぼ同じ方式で調査した第10回(2005年実施)では6.9ポイントあったランキング対象企業の首位と最下位(5位)の差が、今回は3.3ポイントに縮まった。

 だが、全体平均は0.6ポイントと若干だが下がっている。なぜだろう。

顧客に惚れさせる

 「きちんとした対応してくれるので不満はないが、すべてがマニュアルの範囲内」。関西地方に本社を構える大手製造業のシステム担当者は嘆く。「提案書一つとってもテンプレートの使い回し。本当に当社のことを真剣に考えているのか」と付き合いの長い大手ベンダーの対応に疑問を呈する。

 マニュアルやテンプレート頼りの姿勢へのほのかな不満は、ほかでも数多く聞かれた。このままでは各社とも競合との明確な違いを出せなくなる。「特段の不満もないが、完全には満足していない」。こう思われたら、いつリプレースされてもおかしくない。

 顧客の心をつなぎ止めるにはどうすればよいのか。顧客と接する担当者一人ひとりが本当に顧客の身になった対応をするしかない。どんなに優れたサービス提供マニュアルや製品を用意しても、担当営業/SEが顧客に愛されなければ、これ以上のCS向上は難しいだろう。マニュアルや顧客の想定を超えるところから、次のCS向上運動は始まる。

 「とにかく対応が迅速。修理が素早いのは当然だが、直らなくてもその日のうちに必ず報告がある。提案も他社が2週間なら1週間で仕上げてくる」。婦人下着の訪問販売会社シャルレの高田博祐情報システム部長は、サーバーなどの保守運用を委託する富士通エフサスのスピードを賞賛し、今回の調査でも高く評価した。

 「これならば運用だけでなく、開発でも付き合ってみたい」。顧客にここまで惚れさせるのが、CS向上運動の次のゴールだ。

リッツ、ディズニーに学べ

 第13回調査の回答と自由意見、そしてその後の追加取材を基に、顧客に「惚れさせる」ポイントを7カ条に整理した()。すべてのサービス業や接客業に共通する項目が並んだ。

図●客を惚れさす七つの技
図●客を惚れさす七つの技

 例えば6番目の「感動を与える」。「おもてなし」で知られる東京ディズニーランドのスタッフが常に意識する項目であり、これが多くのリピーターを生みだす。高級ホテルのリッツ・カールトンは一人ひとりの従業員が顧客が何を求めているのか考え抜き、自律的に行動するのが社是。新幹線に乗って顧客に忘れ物を届けるなど、顧客の想定を超えた行動を重ね、CSを高めていく。

 おもてなしの心を通じてCSをさらに高める――。こうした姿勢が求められるのはITベンダーだけでない。今回の調査では評価側に回った情報システム部門にも当てはまる。

 民間企業や官公庁/自治体の区別なく、利用部門から見ればIT案件を実現する情報システム部門の役割はまさにITベンダー。“社内CS”が低迷するようでは、システム部門の存在価値が揺らぎかねない。

 それでは顧客はどのようなベンダーに惚れるのか、そしてどのようなベンダーを嫌うのか。具体的に見ていこう。


続きは日経コンピュータ8月15日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。