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日本版SOX法(J-SOX)への対応がカウントダウンに入った。最も早い3月期決算の企業にとっては残り3カ月。“どこまでやればいいか”の明確な基準がないだけに悩んでいる企業は多い。対応が進んでいても、この時期にすべきことを見失っては最後につまずきかねない。一方で追い込みをかけている企業は集中すべきことと時間配分を知っておきたい。


(島田 優子)


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 「監査法人がこれまでと全く違う指摘を始めた」「IT全般統制が有効でないと監査人から言われた。ただでさえ人手が足りないに、指摘された事項をすべて修正するのは無理」「内部統制の有効性を評価した結果、不備があった。この状況で監査法人は内部統制を有効と認めてくれるのだろうか」――。

 3月期決算の日本版SOX法(J-SOX)適用企業にとって、J-SOX対応に残された準備期間はあと3カ月。「財務報告の正確性を担保するために内部統制を有効に運用し、報告すること」は、上場企業約3800社には初めての経験だ。監査法人も同様である。冒頭のようにJ-SOX対応の現場は、いまだ不安を抱えながら作業を進めている。

本来の目的を見失うな

 J-SOX適用各社の対応状況はどの段階か。大和総研が2008年11月に発表した調査では、全体の68%が「8月時点で主に有効性の評価作業を実施中」と答えた()。4カ月たった今は、評価を終えた段階の企業が主流と思われる。専門家たちも、ほぼ同意見だ。

図●J-SOXの対応状況
図●J-SOXの対応状況
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 そうなると、次は評価結果を監査人と協議し、不備の修正に乗り出す。ここまでくれば淡々と進めるだけと言いたいところだが、油断は禁物である。野村総合研究所(NRI) ERMプロジェクト部の堤 順グループマネージャーは「不備の修正にとらわれすぎたりすると本来のゴールにたどり着けない恐れがある」と指摘する。

 本来のゴールとは、内部統制報告書を作成し、報告書の適正性について監査人から監査を受けること。J-SOXの正式名称「(金融商品取引法が定める)内部統制報告・監査制度」の通りだ。当たり前だと思うかもしれない。しかし、担当者は評価で明らかになった不備を少しでも修正したいと考える。修正後は状況を再評価し、結果を監査人と協議しなければならない。最後の追い込みにかかっているのは監査法人も同じ。ある監査法人は「結果に対する見解をフィードバックするのに3週間はかかる」と告白する。この時間を考慮に入れなければならない。

 内部統制報告書の作成自体も容易ではない。現場が作成した評価結果の文書を基に、経営者が自社の有効性を評価。その上で報告書にたどり着く。この時間の確保が必要不可欠だ。この点はJ-SOX対応が進んでいない企業も同じである。


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