14回目となる顧客満足度調査の結果、「顧客企業とともに課題に取り組み、現場を変えよう」とするIT企業が満足度を高めていることがわかった。利用企業も満足を得ようと、回答者の過半数が要求精度の向上に取り組んでいる。「経営に役立つシステムの構築には、利用者と構築・運用者がともに考え抜かねばならない」という普遍的な鉄則が、日本に定着し始めた。
(井上 英明、中井 奨、立林 由香=日経BPコンサルティング)
|

“激震”──。こう表現するのがふさわしいほどに、本誌の第14回顧客満足度調査のランキング結果は、順位が前回から大きく変動した。
調査対象にした製品/サービス21分野のうち、前回より3分野多い10分野でランキング1位が入れ替わった。2位以下の変化も激しい。7分野において、前回4位以下のIT企業が2位にジャンプアップした。
総合満足度の散らばり度合いも大きくなってきている。ランキングの1位から最下位までが5ポイント差以内に収まる“混戦”分野は、前回の9分野から今回は6分野に減っている。
一方で、過去から連続して3回以上ランキング1位を保持するIT企業が“独走”する分野が五つある。強弱の差が広がっている、あるいは利用企業による選別が始まっていることになる。
サービス分野ではNECが台風の目
サービスとハード/ソフト製品の別にランキングをみてみよう。まず、サービス分野で強さを見せつけたのが、日本IBMとNTT系企業である。メーカーとしては、日本IBMが「ITコンサルティング/上流設計関連(以下上流関連)」と、システムの「開発関連」「運用関連」のサービス3分野ですべて1位。情報サービス会社としては、NTT西日本が「上流関連」で初の1位に、NTTデータが「開発関連」「運用関連」の2分野で初のトップに立った。
一方で、サービス分野のランキングをかき回したのはNECと日本ユニシスだ。前回、サービス3分野のすべてで最下位だったNEC。今回は、「開発関連」では3位、「運用関連」では2位に、それぞれ浮上した。逆に日本ユニシスは最下位と参考値扱いになっている。同社は、本調査期間の直前に当たる4月に、契約上の問題から佐賀銀行のシステムを稼働できなかったことが、金融機関などでの満足度と回答数を低下させたのではないかと分析する。
ハード分野で富士通が順位上げる
ハード製品分野では、富士通がほとんどの分野でランキング順位を上げている。特に、2008年にバッチ処理に適したマシンを投入したUNIXサーバー分野では、前回の最下位から初の1位にまで躍り出た。同分野では富士通が協業するサン・マイクロシステムズの順位も2位に上がっている。高評価の理由について富士通は、サポートサービスの料金を引き下げたこと、長年利用したハードを早期に交換することで故障率を抑える提案を進めていることなどが奏功したとみる。
クライアントPC分野の激戦を勝ち抜いたのは、日本ヒューレット・パッカード(HP)である。僅差でデルが2位に続き、外資系メーカーが上位を占めた。日本HPは、グローバルな体制下での一括生産によるコスト競争力の強化、搭載する運用管理機能の訴求の二点が、デルや国産メーカーに対する差異化点だと強調する。
ソフト6分野は、他分野とは異なり、1位を独走する企業が多い。独自OS系RDBソフト分野の日本IBM、グループウエアソフト分野のサイボウズ、ERPパッケージ分野のオービックビジネスコンサルタント(OBC)、統合運用管理ツール分野の日立製作所といった連覇組である。順位を大きく変えたのは、ERPパッケージ分野におけるエス・エス・ジェイ(SSJ)で、前回5位から2位に浮上した。
続きは日経コンピュータ8月19日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。