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二度と同じ轍を踏まない──。急激な景気後退で過剰在庫に苦しんだ企業の多くが、製品や仕掛品、部品といった在庫の削減に奮闘している。取材した20社は在庫調整能力を高めるため、業務プロセスやルール、情報システムのいずれかを見直した。「ちょっとした工夫」で、大きな在庫削減効果を生み出している会社もある。20社の実例は、在庫削減の創意工夫の典型である。年末の“在庫一掃”に役立つ勘所が必ずや見いだせるはずだ。

(二羽 はるな)

◆機能追加や範囲拡大に活路
◆ITではなく業務を見直す
◆全社最適な標準システムを作る


【無料】サンプル版を差し上げます 本記事は日経コンピュータ12月23日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。 なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 「リーマンショックの影響で、コンシューマ製品の在庫が膨れ上がってしまった。それまでも在庫削減活動を進めていたものの、まだ十分ではなかったと言わざるを得ない。市場の変化に応じて柔軟に在庫を調整できる能力を高めるため、全社を挙げて在庫適正化プロジェクトに取り組んでいる」。キヤノンの荒木誠情報通信システム本部長はこう話す。

 同社は全世界・全事業で、生産管理や調達管理、物流管理について業務プロセスと情報システムの標準化を進めている。新システムにより、情報共有スピードを高め、需要変動に応じて、現場の担当者が機動的に部品や製品の在庫を調整できるようにする。

 より一段高いレベルで在庫を削減できるような体制を整えつつあるのは、キヤノンだけではない。今回取材した日本の企業20社は、様々な方法で在庫削減活動に取り組んでいる。

 手掛ける製品や組織体制、システム事情などによって在庫削減策は各社各様であるものの、整理すると大きく三つに分けられる。「既存システムを生かす」「組織体制を見直す」「新しいシステムを構築する」だ()。

図●在庫削減に向けて企業が取り組む主な方策
図●在庫削減に向けて企業が取り組む主な方策
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「長期在庫」の理由を説明させる

 情報システム部門にとって比較的取り組みやすいのが、既存のシステムを生かす方法だろう。管理する業務データの項目を追加したり、データをやり取りする頻度を増やすというものだ。さらに、特定の拠点/事業で導入し、成果を生み出しているシステムを標準として、他の拠点/事業に横展開するという手もある。

 いずれもアプリケーション保守やサーバーのサイジング、導入テストなどの作業は発生する。とはいえ、システムを再構築するのに比べれば手間やコストを抑制できる。

 業務アプリケーションには手を入れず、管理しているデータ項目を増やす。この方策で在庫削減に取り組んだのが、化学メーカーのクレハだ。同社は2008年4月、SAP製ERP(統合基幹業務システム)パッケージで構築した基幹系システムで、「製造年月日」データを管理するようにした。全製品について製造した年月日データを可視化することで、長期間抱えている製品在庫を見つけ出せるようにした。

 クレハは、製造してから1年を超えた製品を「長期在庫」と定めた。さらに、長期在庫を抱えている拠点の担当者には、購買部門にその理由を毎月報告することを義務付けている。

 この活動により、「長期在庫をなるべく持たないようにしよう、というムードが着実に醸成されてきた。在庫削減効果は徐々に出始めている」(クレハの大竹正之情報システム部長)。

 ブラザー工業は、国内で在庫削減効果を生み出しているシステムを海外に横展開し、グローバル全体の在庫削減を図る。同社はSAP製ERPパッケージで基幹系システムや計画/予測系システムを構築済みで、これらの利用範囲を拡大させる。「海外の生産拠点や販売拠点の担当者が、生産や販売、購買などの実績データや計画データを共有できる仕組みを整えることで、在庫調整能力をこれまでよりも高める」。ブラザー工業の吉田鋭一IT戦略推進部長はこう意気込む。


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