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2011年、仮想化されたサーバーの数が出荷サーバーの半分を超える。仮想化はハードとソフトのしがらみを断ち切る刀だ。身軽になったソフトはシステムを一変させる。オンデマンドでコンピュータリソースを提供する俊敏性を獲得し、これまで以上にビジネスを力強く支える。仮想化技術が成熟してきた今、その先にプライベートクラウドの姿がはっきりと見えてきた。リソースをサービスとして操るその手法は、情報システムの新境地を開く。

(森山 徹)

◆仮想化、“全入”時代はじまる
◆コスト削減の秘訣は運用に
◆俊敏性でビジネスを支える
◆プライベートクラウドの条件


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 仮想化が“デフォルト”になる─。「最近は仮想化するか、しないかという議論になることは少ない。どう仮想化するかというデザインの話から入る」。日本IBMシステムズ・エンジニアリング 濱田正彦部長の言葉は、仮想化の広がりを裏付ける。IDCジャパンの予測によれば2011年に出荷されるサーバーのうち、仮想サーバーの論理台数が物理サーバーのそれを追い抜く。

 コンピュータリソースを抽象化し効率良く利用しようという仮想化。これを駆使した先に、「プライベートクラウド」と呼ぶ情報システムの新たな姿が見える。仮想化のノウハウがたまってきた今、プライベートクラウドの構築を一気に狙うことも不可能ではない。

 その利用イメージはこうだ。ユーザーはメニュー画面から必要な項目を入力するだけ。「CPUは2コア、メモリーが32Mバイト、ディスクはSSDで10Gバイト。日次バックアップの追加も忘れずに…」。クリックすれば数分も待たずに、要求どおりのシステム環境が自動で提供される。ネットでピザを注文するような手軽さだ。

 では、“仮想化したリソースの寄せ集め”とプライベートクラウドは何が違うのか。両者を分けるのは、リソースをサービスに仕立て上げてユーザーに届けるか否かだ。

 サービスを注文しやすくするには「メニュー」が必要だし、「ワークフロー」や「自動化」によりデリバリーのスピードも上げたい。利用料金を算出するには「課金管理」も欠かせない。

 こうしたサービス化を推進し、パナソニック電工インフォメーションシステムズや三菱UFJインフォメーションテクノロジーは既にプライベートクラウドを構築している。

 もちろん、すべての企業がプライベートクラウド構築に突き進むわけではない。サーバー数にして数百台といった規模がなければコスト削減効果が乏しく、構築しても意味がない。

 だが、「サーバー統合によるコスト削減」や「リソースプールによる俊敏性向上」といった仮想化のメリットは多くの企業が得られる。最近、コスト削減だけでなく俊敏性も仮想化の評価点になってきた。EMCジャパン プロダクト・ソリューションズ統括部の中野逸子マネジャーは、「リソースをプール化し、オンデマンドで提供することでシステムは俊敏になる」と話す。

仮想化・クラウド製品が充実

 仮想化を軸にした製品間の競争は激しい。「サーバー仮想化ソフトを見たとき、経験値ではVMwareだが、今年はHyper-Vによるコスト削減に期待がかかる。今後は複数製品の併用も視野に入る」。IDC Japan ソフトウェア&セキュリティの入谷光浩マーケットアナリストはこう展望する。物理サーバーと仮想マシンの並存、マルチハイパーバイザーといった“混在環境”の出現を商機ととらえ、運用管理ツールの覇権争いも始まった。

 プライベートクラウドの構築を後押しする製品の充実も著しい。ヴイエムウェアは今年、サーバー仮想化製品「vSphere」をバージョンアップする予定。自動化を進め、課金管理やセルフサービスポータルの機能を加える計画だ。「仮想化ベンダーからクラウドベンダーになる」。2月に来日した同社のポール・マリッツ社長兼CEOはこう宣言した。

 クラウド構築パッケージも登場した。日本では2月にお目見えした「Vblock」は、シスコシステムズのサーバーとネットワーク機器、EMCのストレージ、ヴイエムウェアのサーバー仮想化ソフトをパッケージングした製品。専用の管理ツールでこれら製品をまとめて管理する。製品検証の手間が省けるので、クラウド構築のスピード向上が期待できる。

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