国産メーカーから、グローバルメーカーに変身を遂げる――。円高の逆風が吹き荒れるなか、NEC、日立製作所、富士通がそろって、海外事業の強化に挑んでいる。低迷する日本市場だけを頼っていては未来はないとの危機感からだ。取り組みの成否は、多くのユーザー企業のIT戦略に大きな影響を及ぼす。過去の失敗を糧にできるか。3社の挑戦を追う。
(矢口 竜太郎)

「2012年3月期に売上高5兆円、営業利益2500億円を達成するには、真のグローバルICTカンパニーになる必要がある」(富士通の山本正已社長)。「海外売上高比率を引き上げ、世界有数の社会イノベーション企業になる」(日立製作所の中西宏明社長)。「1980年代には海外売上高比率が35%に達していた。海外売上高の拡大はNECの復活を意味する」(NECの遠藤信博社長)──。
NEC、日立、富士通の国産メーカー3社はいずれも、中期経営計画の重点施策として海外事業の拡大を盛り込んでいる。絶対額が最も大きいのは富士通だ。2012年3月期に、全売上高の40%に当たる2兆円を海外で稼ぐ計画である(図)。海外売上高を2010年3月期の数字から2500億円増やす計算だ。NECや日立は、6年間で海外売上高を3000億円以上伸ばす目標を掲げる。
海外事業の拡大という目標自体は3社共通だが、それを実現するための戦略は異なる。富士通は現地法人に任せ切りだったオペレーションの共通化に乗り出す。日立は商品とサービスを核にした拡販のシナリオを描く。NECは通信分野の大手顧客に対するITソリューションの提案を急ぐ。
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