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 スマートフォンが企業の情報システムを大きく変えようとしている。メールやWebの閲覧にとどまらず、情報システムの一部としての利用が始まった。専用アプリケーションを開発することで、活用の幅も広がる。今や数百台規模の導入は珍しくない。

 一方で、「全国にある端末をどう管理するのか」「セキュリティに不安はないか」「専用アプリを開発するのに必要な技術は何か」など、頭を悩ませる企業も多い。PCとは異なるスマートフォン活用のポイントを、20の疑問に答える形で解き明かす。

(福田 崇男)

◆始まった業務アプリの開発
◆運用編 遠隔で端末管理が可能に
◆開発編 開発に加え配信環境が必要
◆導入編 入念なマニュアルで工数削減
◆留意点 セキュリティから開発の相場まで


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 スマートフォンの業務利用が本格化してきた。メールやスケジュール機能を使うだけではない。業務アプリケーションを動かし、システムの一部として使う。磁気カードリーダーの装着や動画によるプレゼンなど、活用アイデアが満載だ。社内外どこでも瞬時に情報システムにアクセスでき、アプリケーションや周辺機器次第でさまざまな機能を追加できる、スマートフォンならではの利点を生かした取り組みである。

 「この商品のSサイズはありますか」。衣料品販売を手掛けるユナイテッドアローズの新宿店で顧客からこう聞かれた店員は、iPhoneを取り出した。画面をタッチし、その商品のタグに記載されている商品コードを手早く入力する。

 すると画面上に、その商品の現時点での在庫数が表示された。「申し訳ございません。在庫がないようです。色違いでしたらございますが、お持ちいたしましょうか」──。

 ユナイテッドアローズは2010年9月、一部の店舗で商品の在庫を調べる業務にiPhoneを使い始めた。専用のアプリケーションを開発し、在庫管理システムに売り場のどこからでもアクセスできるようにした()。

図●ユナイテッドアローズが開発した在庫検索用iPhoneアプリケーション
図●ユナイテッドアローズが開発した在庫検索用iPhoneアプリケーション

iPhoneで在庫確認を素早く

 導入したのは、来客数が多い、新宿店、横浜店、渋谷公園通り店の3店舗である。11月には池袋店でも使い始めた。売り場責任者を中心に、iPhone30台を配布した。

 この東京都内と横浜市内の4店舗は、ユナイテッドアローズが運営する全国138店舗の中でも来客数が多く、店員が多忙である。今後は、繁忙度が高い店舗から順次、iPhoneを導入する計画だ。

 顧客が希望する商品の在庫を確認する際にiPhoneを使えば、サイズ別、色別の在庫数がその場で分かる。どの店舗に在庫があるかも確認できるほか、商品の写真も表示できる。

 iPhoneを導入したことで、瞬時に在庫管理システムから情報を引き出せるようになった。顧客と話しながらその場でiPhoneをタッチするだけでよい。これまではPOSレジ端末やバックヤードのPCまで行って在庫数を検索していたため、顧客を数分待たせることは珍しくなかった。iPhoneの導入後は、在庫数を確かめるのに30秒かからなくなった。顧客を待たせることはなくなり、接客に集中できるようになった。

 ユナイテッドアローズがiPhoneを評価しているのは、その携帯性の高さだ。小型で店員が携帯しても邪魔にならない。「iPhoneはデザインも良く携帯しやすい。店員に持たせても違和感がない」と、事業支援本部情報システム部の高田賢二部長は話す。従来の業務端末は、店頭で使うにはデザインの点でも大きさの点でも向いていなかった。

 操作も簡単だ。まず、ユナイテッドアローズが自社で開発したiPhoneアプリケーションを起動。次に11桁の商品コードを入力するだけである。アプリケーションは、店舗内に新設した無線LANアクセスポイントを経由して、在庫管理システムのサーバーに接続。その商品の在庫データを取得し表示する。

 ただ実際に利用し始めると、商品タグを目で確認して商品コードを入力する操作に想定以上の手間がかかることが分かった。そこでユナイテッドアローズは現在、iPhoneでバーコードを読み取ることを検討中だ。在庫確認時間のさらなる短縮を図る。

 iPhoneにバーコードリーダーを取り付け、商品タグに印刷されているバーコードを読み取れるようにする。すでにバーコードリーダーの選定を開始している。

 アプリケーションの機能も強化する。店舗の売り上げをリアルタイムに確認する機能や、売れ筋商品を表示する機能を追加する予定である。

 このような機能追加が容易であることも、iPhoneの利点だ。iPhoneの導入を決めてからアプリケーションを開発し、使い始めるまでは約3カ月。既存の在庫管理システムには手を加える必要がなかった。


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