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プライベートクラウドで災害対策を実施するユーザーが増えてきた。ディザスターリカバリーの仕組みに仮想化技術を活用していることがポイントだ。プライベートクラウドの中で仮想マシンを移動させることにより、「復旧時間の短縮」や「待機サーバー台数の抑制」を実現。従来より手軽になってきた災害対策の最新手法を探る。

(森山 徹)


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 プライベートクラウドで災害対策に取り組むユーザーが増えている。住友電気工業は、大阪センターで稼働中の100台のサーバーを、横浜センターでリカバリーする仕組みを構築済みだ。

 中外製薬は今年に入って仮想マシン専用の災害対策ツールを導入し、本番データセンターが被災しても4時間で業務を再開できる体制を整えた。「被災時にも医薬品を安定供給するために、災害対策は欠かせない」(中外製薬 情報システム部の岡村真吾 ITインフラグループマネジャー)。

 プライベートクラウドの要素技術といえるのが仮想化だ。最新の災害対策は、仮想マシンを使い、従来より手軽にディザスターリカバリー(DR、災害復旧)を実現している。仮想マシンでは、物理サーバーに比べて目標復旧時間(RTO)を短くしたり、待機サーバーの数を抑えたりといったメリットが得られる()。

図●仮想マシンを災害対策に使うメリット
図●仮想マシンを災害対策に使うメリット
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 「Novell PlateSpin Protect」のようなツールを使えば、通常は物理サーバーで動かしているシステムを、DRサイトでは仮想マシンで動かすことが簡単にできる。

重複除外でデータを10分の1に

 「災害対策は地震やテロなど、いざというときに備えた保険。保険なので、最後はどうしてもコストとの見合いになる」(ブロケード コミュニケーションズ システムズ パートナーシステムエンジニアリング本部の望月一平氏)。

 「保険料」の中身は、DRサイトの維持費や、待機用のサーバーやストレージなどにかかるコストだ。しかし最も大きな負担は、災害対策に向けた本番環境の整理である。サーバーやストレージの統一、バックアップ運用の標準化などが欠かせない。

 こうした標準化はプライベートクラウドを構築するなかで進む。その延長線上で災害対策を施すことで、対策のコストは下がる。

 サーバーやストレージといったハードウエアの低価格化も、災害対策のコストを引き下げる。

 災害対策では本番システムのデータを遠隔地に転送する必要があるので、回線コストの低下は追い風だ。データ削減技術の寄与も大きい。WANでやり取りするデータ量が減らせれば、回線コストも抑えられる。

 ストレージ装置やバックアップツールは「重複除外機能」を備える。EMCのバックアップストレージ「Data Domain」を使いデータ転送の検証を行ったパナソニック電工インフォメーションシステムズでは、重複除外によりデータを10分の1に圧縮した。


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