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 基本は無料、高機能版は有料──。こんなビジネスモデル「フリーミアム」に基づく企業向けクラウドサービスが相次ぎ登場している。時間とカネをかけずに、自社の情報システムを革新するツールとして浮上してきた。

 フリーミアムのクラウドサービスは、無料でもれっきとした“商用サービス”。企業利用に十分な機能と品質を備え、運用やサポートも提供される。ラインアップも情報共有から情報系全般、開発基盤へと拡大しつつある。著名なサービスから無名のサービスまで、フリーミアムの企業向けクラウドサービス16種の実力を検証する。

(玉置 亮太)

◆大手ベンダーが相次ぎ参入
◆消費者向けが企業向けに進化
◆新興企業はユニーク発想で勝負
◆フリーミアム使いこなしの五カ条


【無料】サンプル版を差し上げます 本記事は日経コンピュータ2月3日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。 なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 「既存システムを補完する情報インフラとして定着した。効果や品質も十分」。建設技術コンサルティングを手掛ける日本工営 技術本部技術企画部情報基盤センターの小松淳センター長は、同社が使う「フリーミアム」のクラウドサービスをこう評価する。

 同サービスを活用して日本工営が構築したのは、全社の情報共有の基盤システムだ。国内外の事業拠点を結んだ、国際電話やオンライン会議、社員間の情報共有などに使っている。同社は世界80カ国で事業を展開する。

 日本工営にとって、この基盤システムの構築・運用コストは限りなくゼロに近い。毎月の国際電話料金を100万円以上削減。オンライン会議システムも、従来は初期費用だけで数十万円かかっていたところを、タダ同然で構築できた。

 同社が利用したのは、フリーミアムと呼ぶ新たなビジネスモデルに基づくサービスである()。基本的な機能を無料で提供し、より高い機能やスペックを求めるユーザー向けに有償版を用意する。

図●日本工営が活用するフリーミアムサービス
図●日本工営が活用するフリーミアムサービス
世界80カ国で事業を展開する同社は、無料またはタダ同然のクラウドサービスを活用。月間100 万円以上の電話代を削減するなど、効果を上げている

 企業で十分に使えるクラウドサービスを、無料またはタダ同然で賄う。なおかつ、これまでにないスピードで情報化を実現する。今、フリーミアムが企業システムを変えようとしている。

利用者を増やして採算を得る

 オープンソースソフト(OSS)など、無料で利用できるソフトやサービスはこれまでにもあった。フリーミアムに基づくクラウドサービスは何が違うのか。大きく2点挙げられる。

 まず、利用期間に制限がない。利用期限を設けることが多い無料体験版と異なり、フリーミアムに基づくサービスは無料のまま使い続けることができる。

 というのも、フリーミアムの基本は無料版の利用者を拡大することにあるからだ。無料版の利用者を増やして、一定の割合を有料版へ移行させる。およそ5~6%が相場だ。この有料版の利用者から得た収益や、無料版に付けた広告収入などで採算を取る。

 それには「無料版の利用者を拡大することが大前提となる。無料でも問題なく使えるサービスを提供し続けなければ、ビジネスモデルそのものが成り立たない」と、TISの社内ベンチャーであるSonicGardenの倉貫義人カンパニー長は説明する。

 二つめの違いは、商用ソフトやサービスと同様に、サービスの提供元が運営や利用者サポートに責任を持つことだ。OSSを使う場合は、専門ベンダーにサポートを依頼するにしても、基本的に自己責任となる。これに対しフリーミアムのサービスでは提供元企業が顧客サポートを提供する。無料とはいえ“商用”のサービスであるからだ。「有料版のサービスの一部を無料で提供していると捉えると理解しやすい」(戦略系コンサルティング会社ローランド・ベルガーの大野隆司パートナー)。

クラウドの普及が後押し

 フリーミアムを成り立たせるために、大きな役割を果たしているのがクラウドだ。

 そもそもフリーミアムとクラウドは、非常に相性がよい。無料版で多数の利用者を集める必要があるフリーミアムでは、サービスの運営やサポートにかかるコストをいかに削減するかが課題になる。「サービスを動かすシステム基盤を共用するクラウドならば、スケールメリットが働いてコストを低減しやすい」(フィードパスの後藤康成 取締役兼CTO)。

 フリーミアムのサービス自身を、別のフリーミアムのクラウドサービスを使って開発・運用するケースもある。初期投資を低く抑えられるのがメリットだ。利用者はフリーミアムのメリットとともに、「すぐ使える」というクラウドのメリットを享受できる。


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