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情報システムで生活インフラや市民向けサービスを効率化する「スマートシティ」の姿が見えてきた。企業情報システムで培った技術とノウハウを生かし、住民の利便性向上とエネルギー利用の効率化を両立させた都市だ。日本でも各地で構築が始まっている。街を操る情報システムとはどのようなものか、その実態に迫る。

(福田 崇男)


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 国内で初めて、実際に人が住み、生活する「スマートシティ」が誕生した。場所は、青森県上北郡六ヶ所村である。

 周囲には、直径70メートルの巨大な風車34台を所有する二又風力発電所と、太陽光パネル450枚を使う太陽光発電システムがある。これらが発電したエネルギーで、6世帯13人が実際に生活する。

 住むのは一般の住宅ではなく、「スマートハウス」である(写真)。スマートハウス内では、HEMS(ホームエネルギー管理システム)と呼ばれる情報システムが動作する。HEMSは住宅内のエネルギー消費量を管理する専用装置である。住宅内にあるエアコンや冷蔵庫といった家電の消費電力データを収集し、テレビやPCの画面に表示。限られたエネルギーを効率的に使うよう、「エアコンの温度を下げる」「フィルターを掃除する」といったアドバイスを表示する。

写真●青森県六ヶ所村で大手企業4社が構築したスマートシティの設備<br>トヨタ、日本風力開発、パナソニック電工、日立製作所が共同でシステムを開発した
写真●青森県六ヶ所村で大手企業4社が構築したスマートシティの設備
トヨタ、日本風力開発、パナソニック電工、日立製作所が共同でシステムを開発した
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 スマートハウスの外壁には、通信機能付き電力計「スマートメーター」が設置してある。どのくらい電力を消費したかを、スマートメーターがサーバーに定期的に送信する仕組みだ。

 住人が移動手段として使うのは、プラグインハイブリッド車(PHV)だ。スマートハウスの駐車場に設置した充電設備を使って充電する。

 外出先でもPHVの車載バッテリーの状態を確認できるよう、スマートフォン用アプリケーションを用意した。このアプリケーションを使うと、遠隔からPHVのエンジンを始動することもできる。

街を動かす情報システムが具体化

 六ヶ所村で実現したスマートシティは、本来「スマートシティ」と呼ばれるものの一部だ。センサー技術や通信技術を使って集めたデータを活用し、都市の省エネや住民の利便性向上を実現するのがスマートシティである。情報化の対象は発電所やスマートハウスだけではない。交通システムや水道、ビルといった社会インフラ全般を含む。

 今後、電気自動車(EV)が普及すれば、それを充電するための設備も、社会インフラとして整備しなくてはならない。この充電設備を管理する仕組みも、スマートシティの一部である。

 こういったスマートシティの開発に、IT企業が相次いで乗り出している。スマートシティでは、センサー技術や通信技術、そしてデータを収集・分析するための情報システムが不可欠だからだ。

 2010年夏以降、日本各地でスマートシティ構築に向け具体的な取り組みが始まった。その中で見えてきたのが、スマートシティに必要な情報システムの具体像だ。

 六ヶ所村プロジェクトは、トヨタと日本風力開発、パナソニック電工、日立製作所の4社が、2010年9月に開始した。ミニ「スマートシティ」を構築し、技術的なノウハウはもちろん、スマートシティに住む人の生活がどのように変わるかも検証する。

 トヨタ、日本風力開発、パナソニック電工は、協力会社の力を借りて住宅を建築し、HEMSを設置した。6棟のうち2棟ごとに、異なるHEMSを使うことにした。HEMSのデータは、3社がそれぞれ自社のデータセンターに設置したサーバーに集める。さらに各社のサーバーにあるデータを、日立が構築した「情報HUBサーバ」に集める仕組みである。

 日立は、太陽光発電システムや蓄電池管理システムと連携し、充放電を制御する「監視制御サーバ」も構築した。

 六ヶ所村プロジェクト以外でも、スマートシティ向けシステムが動き始めている。NTTグループや富士通、NECなどのIT企業によるものだ。各社がどのような情報システムを構築しているか、見ていこう。


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