PR

ビール大手4社が、競い合うように情報システムの全面刷新にまい進している。「グローバル展開」「グループ経営の強化」という経営目標の達成を後押しするため、各社の情報システム部門はクラウド導入などによるシステム基盤の刷新、グループ会社を含めた業務アプリケーションの統合、IT投資の世界規模での最適化を急ぐ。

(玉置 亮太)


【無料】サンプル版を差し上げます 本記事は日経コンピュータ8月18日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。 なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 「情報システムの抜本的な改革を断行して、真のグローバル企業へと生まれ変わる」。アサヒビールなどを傘下に抱えるアサヒグループホールディングスの本山和夫副社長は、こう宣言する。

 アサヒをはじめ、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、サッポロホールディングスのビール大手4社が、グループ全体を横断した情報システムの改革に取り組んでいる。改革とは、プライベートクラウドの導入によるシステム基盤の刷新、グループ全体でのアプリケーションの整理・統合、IT投資の世界規模での最適化に向けた管理体制の整備の三つである。

 システム改革の狙いも4社に共通だ。継続的な「コスト削減」、アプリケーションの機能追加や修整についての「スピード向上」、IT投資管理などの「ガバナンス強化」である()。

図●ビール大手4社のシステム改革の取り組み
図●ビール大手4社のシステム改革の取り組み
グローバルな総合飲料・食品企業へと変わるため、各社の情報システム部門は、ITコスト削減、開発スピード向上、ITガバナンス強化を加速させている

 4社は、システム改革のこれら三つの取り組みを、すべてのグループ企業を対象に、しかもグローバル規模で実践しようとしている。各社ともこれら三つの取り組みを、グローバルな総合飲料・食品企業へと生まれ変わるための絶対条件と位置付ける。

 ビール大手各社が事業のグローバル化を急ぐ理由は、国内市場が低迷していることにある。ビール、発泡酒、第三のビールを合わせた国内の出荷数量は2004年から漸減を続ける。2011年上半期の出荷量は、前年同期比3.5%減の2億32万3000ケースと、過去最低を更新した。

 こうしたなかで新たな成長を遂げるために、4社は海外に成長の可能性を求める。4社の情報システム部門の取り組みは、グローバル展開を目指す企業の情報システム部門にとってのヒントとなる。システム基盤の刷新、アプリケーション統合、IT投資管理という取り組みに沿って、各社の具体策を見ていく。

システム基盤の刷新
クラウドでコスト低減

 グローバル企業の情報システムに必要不可欠なのは、世界規模でシステム基盤を共通化・標準化することだ。そのためには、アプリケーションごとにシステム基盤を個別に構築するこれまでのスタイルを改めなければならない――。

 4社はこう考えて、システム基盤の刷新を進めている。全社標準のシステム基盤を実現する手段として各社が選んだ方策は、プライベートクラウドの構築である。

 各社がプライベートクラウドを構築する狙いは、システム基盤の調達や構築、運用にかかるコストを減らすことだ。仮想化技術によってサーバーを集約すれば、サーバーの台数を減らせるし、利用率も高められる。

 さらに、仮想化したサーバー資源を全社共通のシステム基盤として用意しておけば、新システムを開発する際に、サーバーを調達する必要がなくなる。これにより「ハードの調達費用やシステム構築・運用費なども削減できる」。サントリービジネスエキスパートの武知栄治ビジネスシステム本部グループ情報システム部課長は、こう利点を説明する。同社はサントリーグループのシステム関連会社である。

システム基盤のコストを3割減

 プライベートクラウドの構築で最も先行しているのがサントリーだ。昨年12月に、プライベートクラウドによる全社のシステム基盤を稼働させた。クラウド導入によって、サントリーはシステム基盤に関する年間の総コストを3割減らせると見込む。

 「グループの事業ニーズを満たすシステム基盤として、必然的にプライベートクラウドを選んだ」。サントリービジネスエキスパートの武知課長は、こう語る。


続きは日経コンピュータ8月18日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。