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 「保守サポート料金を毎年値上げ」「ライセンス料金を2倍に」「保守サポート契約を自動更新」──。
 オラクル、SAP、IBM、マイクロソフトといった世界のソフトウエアメーカーが、相次いで保守サポート料金やライセンス料金の改定に動いている。契約形態や利用環境によっては、突然の値上げにつながることがあり、ユーザー企業には見逃せない動きだ。
 「単なる値上げではない」と口をそろえるソフトメーカーの狙いは何なのか。ユーザー企業にとって最適な契約形態はどんなものなのか。新年度の予算策定を前に、ソフト料金にかかわる最新事情をお届けする。

(玉置 亮太)

◆大手4社、料金改定の全体像
◆【保守サポート料金】毎年値上げの真意
◆日米差は5割、世界のOffice価格
◆【ライセンス料金】過渡期ゆえの模索が続く
◆賢い顧客になるために


【無料】サンプル版を差し上げます 本記事は日経コンピュータ9月29日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。 なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 2011年はソフト料金改定の「当たり年」だ。主要ソフトメーカーが、毎月のように自社製品のライセンス料金や保守サポート料金の契約体系、契約内容などを変更している()。小規模な値上げであれば珍しくないが、今年は特に大規模な改定が集中している。

表●ソフトウエアやクラウドサービスの料金改定に関する最近の動き
料金体系や契約内容の変更が相次いでいる
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表●ソフトウエアやクラウドサービスの料金改定に関する最近の動き<br>料金体系や契約内容の変更が相次いでいる

 なかでも、最も大きな波紋を呼んでいるのが、日本オラクルにおける保守サポート料金の変更だ。同社はこの11月、保守サポート料金を毎年数%ずつ値上げする新ルールを導入する。同社の保守サポート契約は1年単位だ。年を重ねるに連れて保守サポート料金は右肩上がりとなる。

 保守サポート料金の改定に動くのは、日本オラクルだけではない。SAPジャパンも2011年1月から、保守サポートサービス「Enterprise Support」の料金を段階的に引き上げている。値上げは2016年まで続く。

 保守サポートの契約更新ルールを見直したのが日本IBMだ。同社は4月、グループウエア「Notes」などの保守サポートについて、1年単位で自動更新する契約形態に変えると発表した。変更するのは2012年2月からだ。それまでは、契約期限の前に更新の意思表示をしないと自動解除となる。新ルールによって、継続的な保守サポートが必要なユーザー企業は便利になる半面、同サービスを打ち切りたいと考える企業には解約手続きの手間が生じる。

ライセンス料金の改定も続く

 ソフトのライセンス料金にも、変化が起こっている。日本オラクルは昨年末、米インテルのプロセッサ「Itanium」を搭載した大型サーバー向けのライセンス料金を、2倍に引き上げた。

 日本マイクロソフトはこの7月、同社製のソフトとクラウドサービスを併用しやすくするという名目で、ライセンス体系を改定した。さらに企業向けライセンス形態の一つである「ソフトウェア アシュアランス(SA)」の強化も同時に実施した。

 狙いは、SAに対するユーザー企業の不満を解消し、導入を促すことにある。SAは同社が2001年に提供を開始したライセンスで、当初は「契約期間内の新バージョン利用権」という位置付けだった。しかしユーザー企業からは必ずしも支持されてこなかった。そこで日本マイクロソフトは、SAで提供するソフトやサービスの充実に10年越しで取り組んでいる。

すれ違う主張

 なぜいま、ソフトメーカーは料金の改定に臨むのか。

 保守サポート料金については、ソフトメーカーの言い分をまとめると次のようになる。「新バージョンのソフトを開発したり保守サポートのサービス内容を充実したりするためのコストが年々増えており、その一部を転嫁せざるを得なくなった」。

 一方、ユーザー企業の声を総合すると、「値上げは受け入れ難い。サービス内容は今のままで結構だから、料金は据え置きか値下げを望む」となる。

 例えばソフトメーカー各社の保守サポートサービスには、新バージョンの無償提供というサービスが入っていることが多い。新バージョンが安く入手できる「オトクなサービス」との位置付けだ。しかし「バージョンアップの予定がないから、このサービスは不要」とみなすユーザー企業は少なくない。

変化の実態を知る

 ユーザー企業が値上げに不満を持つのは不思議ではない。ただし、ソフトメーカーの営業担当者に文句を言うだけでは、何の解決にもならない。


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