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スマートフォンやタブレット端末、仮想化技術が、ワークスタイルの概念を大きく変え始めている。実効性が乏しかった従来の「ワークスタイル改革」と異なり、本当の意味で「いつでも」「どこでも」仕事をすることが可能になってきた。顧客対応やトラブルへの対処がスピードアップするのはもちろん、BCP(事業継続計画)としても効果が期待できる。私物端末の業務利用(BYOD:ブリング・ユア・オウン・デバイス)の広がりも、新しいワークスタイル改革を後押ししている。もはや従業員をオフィスに縛る必要はない。

(福田 崇男)

◆時間、空間を超えて業務を遂行
◆スマホ対応が進む仮想化
◆コミュニケーション欠乏を防ぐ
◆BYODで業務端末を自由に


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 「従来の営業スタイルはもう古い。これからは一人ひとりが移動店舗として動き、顧客の要望にその場で対応できるようにする」。第一生命保険 生涯設計開発部の岩井泰雅部長は、同社の「ワークスタイル革新」プロジェクトの狙いをこう語る。

 第一生命はこの5月から、タブレット端末「DL Pad」を全国の拠点に配布し始めた()。台数は約5万台に及ぶ。第一弾として5月14日に、横浜と東京・上野にある総合支社で利用を開始。8月中旬までに、全国展開を終える。タブレット端末の配備に合わせ、営業支援システム「新・生涯設計 eNav!t システム」も開発した。

図●第一生命保険が推進する「ワークスタイル革新」の主な取り組み
図●第一生命保険が推進する「ワークスタイル革新」の主な取り組み
独自に開発した端末「DL Pad」5万台を導入し活用することで、従来の営業スタイルを改める

 第一生命の特徴は、オフィス環境をどこでも利用できるようにすることで、営業担当者のワークスタイルを抜本的に変えようとしている点である。

オフィス機能を客先にも

 生命保険の営業スタイルは、顧客の年齢や家族構成などをヒアリングしていったんオフィスに戻り、数日後に保険設計プランを印刷した紙を持って再訪問する、というのが定番だ。第一生命はタブレット端末の導入を機に、このスタイルを変える。

 一番の違いは、営業担当者がいつでもどこでも、保険の設計プランや書類作成などの業務が可能になる点だ。客先や自宅にいる時間、あるいは移動中の時間を有効に活用できる。タブレット端末にキーボードとマウスを接続すれば、デスクトップPCのようにも使える。さながら「移動式オフィス」である。

 契約や決済なども、タブレット端末を使ってその場で処理できるようにする計画である。プリンター機能付き決済端末や、決済アプリを現在開発中だ。

 タブレット端末を使って顧客と一緒に保険プランを考えられるようにもする。そのための専用アプリも開発した。例えば「生涯設計プラン」アプリを使うと、家族構成などに応じて収入・支出などをシミュレーションできる。

 タブレット端末の導入は、営業担当者だけでなく、その上司のワークスタイルも変える。これまで上司は、顧客が検討した保険設計プランの内容や顧客獲得の見込み状況などは、営業担当者から報告を受けるまで分からなかった。今後は、タブレット端末の専用アプリ「コーチングナビ」を通じて、営業担当者の行動や商談内容をいつでもチェックでき、適宜、営業担当者に改善点などをアドバイスすることも可能になる。

 第一生命は、コールセンターや支店の窓口といった全ての顧客接点でも、タブレット端末を配備する。内勤者の一部にもタブレット端末を配布予定だ。

デバイスが「改革」を変える

 ITを活用した「ワークスタイル改革」は、以前から提唱されている。だが、これまでのワークスタイル改革は、コスト削減や福利厚生の意味合いが強かった。

 フリーアドレス制はオフィスコスト削減のため、在宅勤務は女性の離職率防止のため、といった具合だ。対象者や対象部門が限定されることも多い。本当の意味で従業員全員のワークスタイル改革にはつながっていなかったのが実情だ。

 そうなってしまった大きな理由が、本当の意味で「移動式オフィス」を実現可能な端末が存在しなかったことだ。PCは重く、起動までに時間がかかることもあって、どこでも使えるという端末ではない。社内アクセスは可能でも、仕事を進めるための文書が手元になかったり、同僚や上司と手軽に相談する手段がなかったりする。結果的に対象とする業務や従業員を限定せざるを得なかった。

 ところがスマートフォンやタブレット端末の普及で状況が一変した。多機能でどこでも使える端末は、文書の閲覧や同僚とのコミュニケーションに向く。モバイル通信サービスが高速化したこともあって、社内の電子ファイルをストレスなく閲覧できるようにもなった。オフィス環境を手軽に持ち運べるようになってきたのだ。

 昨年の東日本大震災では、こういった取り組みの必要性を再確認させられた。多くのビジネスパーソンが、身近にある端末から情報システムにアクセスする必要性を痛感した。自宅のPCを含め、個人所有の端末を業務に生かす「BYOD(ブリング・ユア・オウン・デバイス)」が注目されるのは、自然な流れといえる。


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