ビッグデータ(Big Data)の活用に照準を合わせ、データベース製品の機能強化が進んでいる。Volume(量)、Velocity(頻度)、Variety(多様性)というデータ特性に応じて、カラム型やインメモリー技術などを使い、高速処理を実現する。非構造データの活用では、NoSQLにも出番がある。ビッグデータの“標準データベースの座を狙う”陣取り合戦を追った。
(森山 徹)

「これで7年分の取引データを分析できる」「明細データを6000人の社員に提供できた」。ビッグデータの活用に向け、データベース製品を刷新するユーザー企業が増えている(図)。
冒頭、最初の発言は名古屋銀行 事務システム部の服部悟部長。CRM(顧客関係管理)の基盤を2012年度中に「Microsoft SQL Server 2012」に移行予定だ。「7年分、1億レコードのクロス集計など、これまではできると思わなかった」(服部部長)。可能にしたのは、SQL Server 2012の新機能「カラム ストア インデックス」である。
明細データの活用に取り組むのは、オージス総研 ソリューション開発本部の伊藤泰子マネージャ。現在、大阪ガス6000人の社員が利用するデータ基盤「DUSH」を社内に展開中。約300のテーブルにある業務明細を利用可能にしたのは、データウエアハウス(DWH)アプライアンス「Oracle Exadata Database Machine」の高いパフォーマンスがあったからだ。「明細を集約しないで、そのままユーザーが活用できるようにしたかった」(伊藤マネージャ)。
データベースに「3V」の課題
名古屋銀行も大阪ガスも、ビッグデータは身近にあった。社内に蓄積されていた“眠れるデータ”の活用を、リレーショナルデータベース(RDBMS)の大幅な性能向上が後押しする。こうした大量データを高速に処理する分野で、RDBMSの陣取り合戦が激しくなってきた。
そこに割って入ってきたのが「NoSQL(Not Only SQL)」だ。キーバリュー型データストア(KVS)などシンプルなデータ構造を持つNoSQLは、RDBMSには無い柔軟性を備える。
ビッグデータ活用に向け、データベース製品に新たな課題が突きつけられている。それは、「3V」で表されるビッグデータの特性、Volume(量)、Velocity(頻度)、Variety(多様性)に対応することだ。
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