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もうPCで利用するシステムは作らない。作るとしてもスマートフォンで利用するシステムを優先する――。ユーザー企業において、システム企画・開発の優先度が大きく変わろうとしている。PC向けのついでにスマホ向けを開発するのではなく、スマホ向けを主流に据える「スマホファースト」に取り組む企業が増えている。スマホファーストによって、ビジネスモデルやビジネスプロセスを大きく変える企業も出てきた。スマホ活用「第二幕」の最前線を追った。

(進藤 智則)

◆アスクルの英断、スマホを先行
◆ビジネスをスマホで変革
◆一歩先行く五つのキーワード


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アスクルの英断、スマホを先行

 「売り上げへの貢献度を考えるなら、PC向けのシステムを優先して開発すべきだろう。しかし今回は、あえて“スマホファースト”にした」。アスクルのWeb戦略企画本部の佐藤満本部長は語る。

 アスクルは2012年10月、一般消費者向けのネット通信販売事業に参入した。サービス名は「ロハコ(LOHACO)」。アスクルが得意とするオフィス用品だけでなく、食品や飲料、日用雑貨なども販売する。

 注目すべき点は、サービスの立ち上げ方だ。PC向けの通販サイトではなく、スマホ向けの通販サイトを先に開発しサービスインした。スマホが普及しているとはいえ、ネット通販はPCサイトからの購入が主流だ。ましてやアスクルにとって、初めての一般消費者向けサービスである。にもかかわらず、同社はあえてスマホ向けサービスを先行させた()。

図●アスクルは新サービス「ロハコ(LOHACO)」の開発でスマホファーストを実践<br>スマホ向けのサービスを先行して開発、2012年10月15日に提供を開始した。PC向けサービスは約1カ月後の11月20日から開始した
図●アスクルは新サービス「ロハコ(LOHACO)」の開発でスマホファーストを実践
スマホ向けのサービスを先行して開発、2012年10月15日に提供を開始した。PC向けサービスは約1カ月後の11月20日から開始した
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スマホ優先で高速開発

 なぜアスクルはスマホ向けサービスを先行したのか─。英断の背景にあるキーワードが「スマホファースト」である。

 スマホファーストとは、スマホやタブレットなどモバイル端末で利用するシステムの企画・開発を、PCで利用するシステムよりも優先させることである。現在はPC向けを優先する「PCファースト」が主流だが、これを逆転させる。開発するタイミングだけでなく、予算配分や開発体制、開発プロセスといったIT戦略にかかわる様々な要素においても、スマホを最優先に据える。

 スマホファーストの最大の利点は、システムの開発スピードを高められること。その結果、事業を素早く立ち上げられる。実際、アスクルは一般消費者向け通販へ参入を決めてからわずか半年で、ロハコのサービスを開始できた。日用品におけるネット通販は、国内総販売額全体の0.1%以下だ。この「空白地帯」を狙い、各社がしのぎを削っている。その中で少しでも早くプレゼンスを獲得するために、アスクルはスマホ向けサービスを先行投入した。

 アスクルにとって、スマホファーストは将来を見越しての布石でもある。「数年後にはスマホ経由での売り上げがPC経由を逆転する」と、岩田彰一郎社長兼CEOは説明する。

要件を「シェイプアップ」

 PCに比べると、スマホは制約条件が多い。だが、それを逆手に取ることで、システムの開発期間を短縮したり、ローコストで事業を創出したりできる。

 例えば、「画面の狭さ」はスマホの欠点だ。スマホ向けのシステムを開発するには、「本当に必要な機能は何か」を考え、システムの要件を絞り込む必要がある。その結果、無駄な機能の実装に工数を割かなくなり、開発スピードを速められるといったスマホファーストの利点が生まれてくる。

 システム開発の常識を一変させるスマホファーストは、企業のビジネスモデルやビジネスプロセスをも変革する。そして今、アスクルのほか、金融や製造、医療など様々な分野のユーザー企業が取り組み始めている。


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