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CRM(顧客関係管理)システムの「再生」が喫緊の課題として浮上している。契機はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やスマートフォンの爆発的な普及だ。SNSやスマホから得られる情報を社内システムに蓄積した情報と組み合わせ、売り上げアップに生かす。既存のCRMを見直し、新CRMを実現する必要に企業は今、迫られている。ベンダーは新CRMを支える製品やサービスの強化を急ぐ。

(島田 優子)


【無料】特別編集版(電子版)を差し上げます 本記事は日経コンピュータ4月4日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文は、日経BPストアの【無料】特別編集版(電子版)で、PCやスマートフォンにて、4月10日よりお読みいただけます。なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 「クーポンの配信による顧客の獲得だけが目的ではない。真の狙いは、サービスを通じて得られる顧客の行動履歴データの活用だ」。東急百貨店の上根弘之常務執行役員は、新たに取り組むO2O(オンライン・ツー・オフライン)サービスについてこう話す。

 東急百貨店が2013年2月20日にNTTドコモと共同発表したのは、地域限定のクーポン配信サービスである。渋谷にある東急百貨店の店舗や同社が運営する商業ビル「渋谷ヒカリエShinQs」で、特定のスマートフォン向けアプリケーションを起動している顧客に対して、来店を促進するクーポンを配信する。近くにいる顧客を店舗に呼び込むことが狙いだ。

 上根常務執行役員は、さらにその先の展開を見据える。「当社にはハウスカードやPOSシステムを通じて得た大量の販売データがある。クーポンを利用した顧客の行動履歴データを併せて分析すれば、顧客の行動パターンをより詳細に把握でき、緻密な販促を実現できる」と期待を寄せる。

 イオンの中核子会社であるイオンリテールの梅本和典社長も、O2Oサービスの次の展開をもくろむ。「O2Oの取り組みから得られた顧客の情報を電子マネーやPOSのデータと併せて分析し、顧客の行動を分析するところまで手掛けたい」と話す。

 イオンリテールはソフトバンクテレコムと3月7日に協業を発表。ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」を通じて試供品や景品と引き換えられるクーポンを発行し、店舗へ顧客を誘導する仕組みを整備した。梅本社長の言葉は、データを活用して取り組みをさらに進めたいとする意思表示だ。

CRMがO2Oの進化を加速

 東急百貨店やイオンリテールが目指す顧客データ活用の基盤となるのが、CRMシステムである。顧客や取引先との接点となるコンタクトセンターや営業担当者の活動を支援するのが役割だ。CRMシステムの実現を支援するパッケージ製品やクラウドサービスも数多い。

 今、CRMシステムに対する新たなニーズが高まっている。顕著なのは、SNSやスマホへの対応だ。SNSへの投稿やスマホユーザーの位置情報といった公開情報を利用するだけでも、マーケティングや営業活動は大きく変わる。

 2012年時点で、日本のSNS利用者は2600万人超(野村総合研究所調べ)、スマホ利用者は2400万人超(コムスコア・ジャパン調べ)。SNSやスマホは今後も普及が加速していく可能性が高く、これらの情報を使えばより効果的な販促活動を実現できる。東急百貨店やイオンリテールの狙いは、まさにここにある。

目指すは「新CRM」への再生

 問題は、既存のCRMシステムでは新たなニーズに応えるのが困難なケースが多いことだ。CRMシステムは基幹系の中でもカバー範囲が最も広く、かつ「環境の変化を最も受けやすい」(ガートナージャパンの川辺謙介主席アナリスト)。多くの企業はSFA(営業支援)、コンタクトセンター、顧客データ分析など、用途別にシステムを構築している()。

図●これからのCRM(顧客関係管理)システムの考え方<br>必要な情報をリアルタイムで入手できると同時に、顧客に提供できるシステムが必要になる
図●これからのCRM(顧客関係管理)システムの考え方
必要な情報をリアルタイムで入手できると同時に、顧客に提供できるシステムが必要になる
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 この状況について、アビームコンサルティング プロセス&テクノロジー第4事業部CRMセクターの村田浩成シニアマネージャーは、「BtoCにしろBtoBにしろ、CRMシステムが分断している状態では、『企業の売り上げ拡大に資する』という最大の目的を達成しにくい」と指摘する。「EC(電子商取引)サイトの購買情報を店舗で閲覧できない」「SFAを支店ごとに構築しており、地域をまたいだ取引先別の売上高データの取得に時間がかかる」といった具合に、必要な情報を最適なタイミングで提供できないからだ。

 SNSやスマホなどに対応し、社内外の様々なCRMシステム、さらに会計や販売など他のシステムを束ねるハブの役割を果たして、企業の売り上げ拡大に貢献する。こんな「新CRM」こそが、今後企業が目指すべきシステムである。


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