PR

海外拠点の情報をあたかも現地にいるかのように日本本社で入手できる「グローバル経営情報システム」を構築する企業が相次いでいる。世界44拠点の出荷情報を実績との誤差0.1%で24時間以内に集める資生堂や、欧米・アジア19拠点の実績を収集するシステムをわずか10カ月で稼働させたダイキン工業など、各社は高品質な経営情報を入手できる仕組みを短期間で作り上げている。世界と戦うため、世界を徹底的に見える化する企業の最前線を報告する。

(島田 優子)

◆異次元の構築事例が続々
◆情報の質を劇的に高める
◆構築期間を一気に短縮


【無料】特別編集版(電子版)を差し上げます 本記事は日経コンピュータ9月19日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文は、日経BPストアの【無料】特別編集版(電子版)で、PCやスマートフォンにて、9月26日よりお読みいただけます。なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

異次元の構築事例が続々

 「異常が起こっていないか、リアルタイムで全世界の状況が知りたい」。ダイキン工業の川村群太郎副社長の一声から生まれた情報システムがある。川村副社長がトップを務める化学事業を対象に、米国、欧州、中国、台湾など世界19拠点の売り上げ、在庫、出荷といった情報を、24時間以内に本社で閲覧可能にする「見える化システム」だ。

 見える化システムは、各国の状況を知るために必要な情報を現地の基幹系システムから収集し、閲覧・分析を支援する。本社の経営層は日々変化する情報に基づいて「特定の取引先からの需要が全世界で急激に落ち込んだ」「ある地域の在庫量が一気に増えた」といった状況が一目で分かる()。

図●ダイキン工業が構築した「見える化システム」<br>世界の拠点の状況が日次で見られる(画面の数値は例)
図●ダイキン工業が構築した「見える化システム」
世界の拠点の状況が日次で見られる(画面の数値は例)
[画像のクリックで拡大表示]

 このシステムが稼働するまで、ダイキン工業の経営層は月2回の営業会議のタイミングでしか世界の各拠点の状況を知ることができなかった。営業会議で報告される数値は日本の担当者が各拠点から収集し、Excelを利用して加工した情報。これを経営陣は会議の場で初めて目にする状況だった。

 見える化システムにより、この状況が一変した。世界各地の課題を迅速に把握して手を打てる体制が整ったのだ。「価格戦略一つとっても、時々で各拠点に最適な価格を設定しなければ競合に後れをとる。見える化システムは、様々な数値を踏まえて何が最適かを判断し、素早く決断するための材料を提供できる」とダイキン工業化学事業部企画部の長田益生IT・業務革新担当課長は説明する。

「世界の見える化」が急務

 世界に散在する拠点の生の情報を素早く収集し、経営幹部に意思決定の判断材料を提供する「グローバル経営情報システム」を構築する企業が相次ぎ登場している。2012年にはセイコーエプソンや資生堂、2013年には第一三共や中西金属工業といった具合に、グローバルに事業を展開する企業が続々とシステムを稼働させた。

 経営情報システムは、これまでも存在した。ただ、今続々と登場しているグローバル経営情報システムは、情報の質や収集スピードを従来のものとは異次元のレベルに高めている。売上高、在庫、生産の進捗率といった世界各拠点の詳細な情報を、まさに必要とするタイミングで本社の経営陣に届けるのだ。

 情報の精度を一気に高めた1社が資生堂だ。海外拠点の生産、物流、販売情報を収集・分析するシステム「GINGA」は、取得するデータの精度を高めるため、10年間利用してきた旧システムを刷新したものだ。

 実は旧システムでも海外拠点の情報を日次で収集していた。だが資生堂は刷新に踏み切った。「旧システムで収集する数値は、正確に集計する決算数値と比較して10%の誤差があることもあった。新システムでは誤差0.1%以内を実現した」と資生堂国際事業部国際企画部の森健二氏は話す。

 一方、板ガラスや自動車向けガラスで世界最大手の旭硝子は、新たなグローバル経営情報システムを構築した。連結売上高1兆1900億円(2012年12月期)の同社は、月次で経営トップに世界の連結子会社202社の経営状況が届く。特筆すべきはその精度。数値は四半期に一度作成する決算と同じ精度を実現した。作成に要する時間も短く5営業日。システム導入以前の8営業日から3日短縮、前月の締日から1週間で経営トップに情報が届くようになった。


続きは日経コンピュータ9月19日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。