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オフィスビル内でサーバーを運用するのは無防備であり、もはやリスク以外の何物でもない─―。そのような危機感から、サーバーをデータセンター(DC)やクラウドサービスに移行するユーザー企業が増えている。最新事例を基に、BCP(事業継続計画)立案や施設選びの勘所と、災害対策で見逃しがちな注意点を探る。

(中田 敦)

◆日本中でサーバー大移動
◆盲点はズバリ「噴火」対策
◆【資料編】国内の主要DC一覧


【無料】特別編集版(電子版)を差し上げます 本記事は日経コンピュータ10月31日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の全文は、日経BPストアの【無料】特別編集版(電子版)で、PCやスマートフォンにて、11月7日よりお読みいただけます。なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 「当社では近い将来、オフィスビルにあるサーバールームを『ネットワークルーム』と呼ぶようになるだろう」。TOTOの名取順情報企画本部長はこう語る。「サーバーが無くなり、ネットワーク機器だけが残るようになる」(同)からだ。

 TOTOは2018年までに、社内サーバーの8割をNTTコミュニケーションズ(コム)のデータセンター(DC)やクラウドへと移行する。2017年には、北九州市の小倉本社にあるサーバールームを大幅に縮小する予定だ。移行は2010年から開始している。

 TOTOだけではない。ヤマハ発動機やキヤノンマーケティングジャパン(MJ)、熊谷組、ディスカウントストア「トライアル」を展開するトライアルカンパニー、電気通信工事大手のミライト・ホールディングスなどが、社内で運用してきた業務系システムを、社外のDCに全面的に移行し始めている()。

表●業務システムの「オフィスビル脱出」を図る企業や団体の例
表●業務システムの「オフィスビル脱出」を図る企業や団体の例

DCで災害リスクを軽減

 日本中でサーバーの大移動、つまりオフィスビル離れが進む理由は二つ。東日本大震災などをきっかけにした災害リスクの認識の高まりと、リスク回避に役立つDC関連技術の進化である。

 キヤノンMJは地震の揺れに対するリスクを再認識した。千葉市幕張の高層ビル内にあった同社の「マシン室」は2011年3月11日、震度5強の揺れに見舞われた。サーバーラックは地震の揺れを吸収する「免震台」に据え付けられていたので、サーバーの破損は免れた。だが、免震台は7台が破損。そのうちの1台は、台を支えるベアリング(軸受け)が外れた。同社ITインフラ部の結城拓主席は、「免震台が壊れた状態で余震に見舞われ、サーバーが破損するのではないかと何度も不安になった」と振り返る。

 熊谷組やトライアルカンパニーは、震災後の「計画停電」を通じて電力供給に危機感を抱いた。サーバールームを設けていた本社ビルには、自家発電設備が無かったからだ。

 ミライト・ホールディングスは、災害に伴う交通網の遮断を懸念した。同社は2010年に東京都江東区の豊洲に本社を移転していた。埋め立て地である豊洲では、震災でビルが大きく揺れただけでなく、地盤の液状化も発生した。同社の古川信次執行役員システム部門長は、「地震によって本社が孤立する恐れがあることを痛感した」と明かす。

震度6に耐えた仙台のDC

 これらの災害リスクは、BCPの観点から様々な装備の強化を進めているDCを活用することで、かなり軽減できる。

 例えば、東日本大震災の震源に近い仙台市は震度6~7の揺れに見舞われたが、「近くのDCでは、サーバーなどの破損は生じなかった」(日本データセンター協会運営委員を務める建設大手、鹿島建設の市川孝誠iDCプロジェクト室長)。耐震構造を採用していたからだ。さらに最新のDCでは、揺れを吸収する免震装置をビルの基礎に据え付け、直下型地震などに耐えられるようにしている。

 停電にも強い。無停電電源装置(UPS)に加えて、電力を48~72時間程度供給できる自家発電設備を備えている。

 「とう道」と呼ぶ通信ケーブル用の専用地下トンネルに直結しているDCもある。とう道は人が通行できるほど太く、しかも地震の揺れに強い。これに対して、一般のオフィスビルには、電柱や地下に埋められた細いパイプを通じて、通信ケーブルが引き込まれている。そのため、強い揺れによって通信ケーブルが切断する恐れがある。

「ボディースキャナー」装備も

 DCの利用によって、セキュリティリスクも減らせる。DCの出入り口や建物の内部にはセキュリティゲートが複数あり、ICカードによる認証や、指静脈・虹彩といった生体認証をパスしなければ中に入れない。

 野村総合研究所(NRI)のように、空港にあるような「3次元ボディースキャナー」を装備しているDC事業者もある。「USBメモリー」など外部記録媒体の持ち込みを防ぐのが目的だ。

 ビットアイルはサーバーラック1台ごとの「鍵システム」を、建物や内部の出入口の認証システムと連動させている。ユーザーは建物などの認証を通ったICカードを使って、自分が利用するサーバーラックだけを解錠できる。入退館やサーバーラックの開閉があるたびにログを記録しているため、DC内での不正を検出・調査できる。


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