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 戦争の勝敗は兵站(へいたん)が決める。
 この法則は企業社会でも同様だ。ITを活用して物流を高度化することが、企業の利益の源泉となり、競争力を左右するようになった。物流の効率化を極めれば、「モノ」の動きはもちろん、「カネ」や「ヒト」の動きも変わってくる。
 多くの企業が物流の可能性に気付き始めた。コンビニの雄、セイコーマートは自前の物流システムをITで磨き上げ、北海道に君臨。ヤフーや楽天といったネット企業が物流に儲けのチャンスがあると見る一方で、物流の王者ヤマトも次の成長をITに託す。物流とITが交差する、変化の波頭を追う。

(小笠原 啓)

◆先進事例編 ITで掘り起こす利益の源泉
◆ネット企業編 打倒アマゾンは物流が決め手
◆物流企業編 物流×IT=新規ビジネス


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先進事例編 ITで掘り起こす利益の源泉

北海道のコンビニ大手セイコーマートは、全国チェーンとの競争を勝ち抜くため物流とITの内製化を加速。メディパルホールディングスは医療機関を巻き込み、サプライチェーンの効率化を図る。先進企業に共通するのは、ITを駆使して物流を高度化することで、利益を生み出す姿勢だ。

セイコーマート
自前物流が低価格の鍵 セブン圧倒する北の王者

 「流通業界の競争は激しいが、物流にはまだコストを下げられる余地がある。ソフトウエアを含めて自前で手掛けることで、無駄を省いていきたい」。北海道におけるコンビニ最大手、セイコーマートの赤尾昭彦会長は、物流にこそ利益の源泉が眠っているとにらんでいる。

 セイコーマートはセブン-イレブンやローソンなど全国チェーンの出店攻勢をはねのけ、道内の店舗数首位を保ち続ける北の王者である。店舗数は既に1000店を超え、他県も含めた全店売上高は1800億円に達する。

 人気の秘密は、「コンビニらしくない」低価格商品だ。自社工場で製造したポテトサラダは100円で販売。パスタなどでは近隣のスーパーより安いものもある。

 これを支えているのが、セイコーマートが長年かけて構築したサプライチェーンである()。コンビニ店舗だけでなく、原料を生産する農業法人や容器の製造工場なども自前で抱える。可能な限り内製化することで、「グループ全体でコストを圧縮している」と赤尾会長は述べる。そして、サプライチェーン全体を貫く物流の強化に乗り出した。

図●セイコーマートのサプライチェーン
図●セイコーマートのサプライチェーン
原料生産から食材の加工製造、卸・物流と小売を一つの企業グループで担うことで、コストを削減する

物流ITで10億円のコスト削減

 コスト低減に向けた物流改革の第一歩が、配送業務の効率化だ。

 英国のスーパー大手テスコやスウェーデンの家具大手IKEAが活用する、英パラゴンの配送管理パッケージソフトを国内でいち早く導入。札幌の配送センターから各店舗に商品を届けるトラックのルート計算などに活用している。「欧州での利用が前提のソフトで、日本地図すら搭載していなかった」と赤尾会長は明かす。だが、機能の豊富さに惚れ込み、あえて自社でカスタマイズして導入したという。

 現在はGPS(全地球測位システム)と連動させ、トラックの運行状況をリアルタイムで管理。導入前、札幌センターでは90台のトラックを運用していたが、今では78台にまで削減した。その間、店舗数は増えているにもかかわらずだ。

 店舗への配送業務だけではない。全社物流網の要となる配送センターの情報武装にも、数年がかりで取り組んでいる。2011年6月には、約2億5000万円を投じて札幌センターに「ウェアハウス・マネジメント・システム(WMS)」を導入した。センターで扱う商品、約9000種の銘柄や数量、賞味期限や倉庫内の所在地などをリアルタイムに管理するシステムだ。「正確な在庫数量を常に把握できるようになった」と、グループ内で物流を担当するセイコーフレッシュフーズの堤豪気取締役は話す。WMS導入以前は、毎月の棚卸し時に「理論在庫」と「実在庫」の数量が大きく乖離することもあったという。

 一連の改革により「過去5年間の累計で、軽く10億円の物流関連コストを削減できた」と堤取締役は胸を張る。


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