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「わが社もタブレットを」――経営陣の鶴の一声でタブレット導入が決まったものの、十分に活用されないまま“塩漬け”になるなど失敗に直面する企業は多い。失敗の理由ははっきりしている。利用目的が不明確なまま導入に踏み切ってしまうことだ。自社の業務を分析し、最適な導入形態を見極めることが欠かせない。最近では、営業などの特定職種だけでなく、オフィスワーカーを含めた全社員に無理なくタブレットを導入できる下地も整ってきた。

(進藤 智則)

◆目的不明で“塩漬け”に
◆新発想、全社員にタブレット
◆導入効果高める三つの工夫
◆最新OSはBYODが容易


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 「経営トップの指示でタブレットを導入したものの、従業員にほとんど使われず、約1年もの間、タブレットが“塩漬け”の状態に」――。タブレット導入にまつわるそんな手痛い経験をしたのが、「パリミキ」や「メガネの三城」などのブランドでメガネ店を展開する三城ホールディングスだ。

 同社は2010年に国内でiPadが発売されるや否や、社長の鶴の一声ですぐに社内導入を決定。全国約1000の販売店に合計1000台、1店に1台の割合でiPadを配布した。5000万円ほどの投資だ。

 しかし、冒頭に示したように、導入効果は上がらなかった。iPad活用のプロジェクトを主導する同社Digital Device Solutionsの河村和典氏はその要因について「当時は導入自体が目的になり、タブレットで何をしたいのか見えないまま進んでしまった」と述懐する。今でこそ、iPadを社内でフル活用している同社だが、当時は失敗パターンにはまった。

水面下で増える塩漬け端末

 この事例から透けて見えるのは、せっかく導入したタブレットを“塩漬け”に追い込む数々の落とし穴の存在だ。

 典型例が、目的が不明確なまま導入に踏み切ってしまうこと。「業務を改革できる強力な武器」とのポジティブなイメージが先行して経営陣から賛同を得やすいこともあり、タブレットの導入自体が目的と化してしまいやすい。

 セキュリティを必要以上に厳格にしてしまうのも、落とし穴の一つだ。三城ホールディングスの場合も、当初は情報漏洩を恐れるあまり、タブレットのセキュリティを厳格にし過ぎた。従業員がタブレットの業務利用を試したくても、アプリのインストールは全面禁止。また店舗に1台しかないため、誰のものなのか曖昧で従業員が手に取りにくい雰囲気だった。

 評価用の端末が部署に1台という状況では、結局、上司の机の引き出しなどに入れて保管され、部下は自由に試しにくい。結果として、そのまま引き出しに眠り、存在を忘れられてしまう。トライアルであれば、「特定の部署にターゲットを定め、その部署内の複数人に端末を集中配布するのがベター」(インフォテリアの堀野史郎マーケティング本部長)だ。

 IDC Japanが2013年11月に発表した調査によれば国内企業でのタブレットの導入率は33.1%。3社に1社が導入済みだが、その中で“塩漬け”に陥っているタブレットは決して少なくないだろう。

職種と難易度の2軸で整理

 落とし穴を避ける最大の対処法は、企業の情報システム部門がタブレットの導入目的をしっかりと見定めることだ。しかし、目的を明確にと言われても、なかなか一筋縄で決められるものではない。そこで、まずは「導入難易度」と「職種ごとのタブレット適性」という二つの軸で活用シーンを整理するのが近道だ()。

図●タブレット活用の三つのフェーズ<br>適用範囲によって主に三つのフェーズに分けられる。メールやスケジューラーの利用だけであれば、比較的容易に導入できるが、基幹系システムなどと連携させるといった場合は、業務プロセス改革などとセットで1年以上の期間を要する
図●タブレット活用の三つのフェーズ
適用範囲によって主に三つのフェーズに分けられる。メールやスケジューラーの利用だけであれば、比較的容易に導入できるが、基幹系システムなどと連携させるといった場合は、業務プロセス改革などとセットで1年以上の期間を要する
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 導入の難易度は、適用範囲によよって大きく三つの段階に分けられる。メールやスケジューラーの活用など手軽に始めやすい第1フェーズ、より業務に踏み込んだ第2フェーズ、基幹系システムと連携させるなど準備や投資が必要でハードルの高い第3フェーズだ。まずは、どのフェーズを狙うか自社業務を分析しながら検討する。

 次に、対象職種ごとのタブレットの向き不向きを見極める。業務における入力作業の多さ、外を出歩く割合などが分析のポイントだ。外回りの多い営業職や設備などの操業・点検を担うフィールド業務、情報の分析が主体で入力作業は少ない経営層などはタブレットへの適性が高い。利用目的を見定めやすく成功確率が高い。

 問題は、内勤のオフィスワーカーだ。Officeを使った入力作業が多く、必ずしも毎日外出するわけではないため、「タブレットの適性は高くない」というのが常識だった。仮にタブレットを配布してもPCを引き上げるわけにはいかず、企業が管理すべき端末数は増え、投資がかさむ。

台頭する“全社員型”導入

 しかし、最近になって、こうした常識が崩れてきた。オフィスワーカーにも無理なくタブレットを適用し、全ての社員にタブレットを持たせる“全社員型”の導入を可能にする素地が整ってきた。

 変化をもたらしたのはマイクロソフトの「Surface Pro」などに代表されるWindowsタブレットの台頭だ。Officeが利用可能などの理由で、タブレットとPCの2台持ちから脱却し、1台のWindowsタブレットに業務を集約できる。社内ではPC、外出時はキーボード部を外すなどしタブレットとして使える。既存のデスクトップPCを刷新するタイミングで、デスクトップPCの予算をそのままWindowsタブレットに振り向ければ、タブレット導入のためだけの新規投資も事実上ゼロで済む。

 こうした点を評価し、全社員型の導入に踏み切る企業が続々と現れている。


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