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 スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスからBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを利用可能にする動きが広がっている。現在はiOS向けが中心だが、多くのツールが今後Androidにも対応する見込みだ。接続可能なデータソースも増えており、利便性が増している。

 京セラ丸善システムインテグレーション(KMSI)が2011年12月に提供を始めた「Yellowfin Ver.6」は、新たにiPhoneやiPad、Androidタブレット端末などから操作ができるようになった。

写真●京セラ丸善システムインテグレーションが提供する「Yellowfin Ver.6」
新版からiPhone、iPadなどからの操作を可能にする専用のアプリケーションを用意した

 KMSIをはじめ、BIツール大手が2011年下半期以降に投入したバージョンや、2012年上半期中に投入予定のバージョンは、いずれもスマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスへの対応が大きな特徴だ(写真)。ほとんどのツールで、PCを使った場合と同様の機能が、スマートデバイスから利用できる()。各社の製品担当者は「2011年から、スマートデバイスを使ってBIツールを操作したいというニーズが急速に高まった」と口をそろえる。

表●主なBIツール新版の特徴
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 「スマートデバイスへの対応」に加え、各社のBIツールの新版には「データソースの拡充」「コラボレーション機能の追加」といった共通する特徴がある。それぞれの特徴を詳しく見ていこう。

ネイティブアプリが主流

 スマートデバイスからBIツールを操作する場合、大きく二つの方法がある。一つは、端末にネイティブアプリケーションを導入して操作する方法、もう一つは端末が搭載するブラウザーから操作する方法だ。

 現在主流となっているのがアプリを使う方法だ。スマートデバイス上でアプリを動かすことにより「画面に触れた指を滑らせる“スワイプ”などの操作に対応できたり、OSが備えているUI部品を利用できたりするため、スマートデバイスの操作感を損なうことなく、BIツールを扱える」(マイクロストラテジー・ジャパンの金翰新セールスエンジニアリング&マーケティングディレクター)。

 一方で、日本マイクロソフトとクリックテック・ジャパンはブラウザーを使って操作する方法を採用している。日本マイクロソフトの斎藤泰行エグゼクティブプロダクトマネージャーはその理由を「スマートデバイスを含め、どの端末でもブラウザーを使ってアクセスするようにすれば、操作に戸惑うことがない。端末へアプリをインストールする手間も不要だ」と説明する。

 同社は、ブラウザーから閲覧する場合でもタッチやスワイプといったスマートデバイスに特有の操作を実現するため、2012年中に「Touch Edition」と呼ぶ新版を投入する予定だ。斉藤マネージャーは「ブラウザーを使いながら、スマートデバイス特有の操作感を実現できる」と話す。

BIツールから“発注”が可能

 スマートデバイスに対応すると同時に、BIツールのUIからERP(統合基幹業務システム)など他のシステムを操作できるように機能を追加しているケースも多い。「スマートデバイスは外出先で使うことが多い。外出先でBIツールを操作していて在庫不足などの問題に気づいた場合、ユーザーはすぐにその問題に対処したいと考えるはずだ」(マイクロストラテジー・ジャパンの金ディレクター)。BIツール上で発注などの操作を可能にすれば、新たに発注アプリを立ち上げるなどの手間が必要なくなる。

 マイクロストラテジー・ジャパンの「MicroStrategy 9.2.1」は発注などの操作を可能にする「トランザクション機能」を備えている。ユーザーが汎用的なERPパッケージやRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)で在庫管理システムを構築していれば、在庫管理アプリを立ち上げることなく、BIツール上で商品の発注などが可能だ。

 ユーザーがERPパッケージを利用している場合は、SOAPプロトコルを使い、BIツールからアクセスする。手組みの在庫管理システムを利用している場合でも、汎用的なRDBMSを使っていれば、BIツールからデータベースに対してSQLを発行するように設定できる。

 日本オラクルのBIツール「Business Intelligence 11g」も、他社製品を含めたERPパッケージなどと連携し、画面上で発注などの操作が可能だ。

BIツールを単体で提供

 データソースの拡充には、大きく三つのパターンがある()。

図●BIツールの新版でデータソースとの連携を強化
他社製ツールとの連携や、自社製データソースでのパフォーマンス向上を図っている

 パターン1は、これまで自社のデータベースのみに対応していたBIツールを、単体の製品として切り出し、他社のデータベースにも接続できるようにする、というものだ。ウイングアークテクノロジーズは、長年にわたり同社のデータベース製品「Dr.Sum」と、そのデータを閲覧するためのBIツールをセットで提供していたが、昨年8月にBIツール部分を切り出し、同社で初となる単体のBI製品「MotionBoard」の提供を開始した。

 MotionBoardは、日本オラクルの「Oracle Database」や日本マイクロソフトの「SQL Server」など汎用的なデータベースへ接続できる。ウイングアークの親会社である1stホールディングスの小島薫BI事業部事業部長は「自社のデータベースと組み合わせなくても、BIツール単体として魅力的な製品ができたと考え、提供を決めた」と語る。

 日本マイクロソフトも、これまで「SQL Server」の無料のオプションと位置付けていたBIツールを、2012年上半期中に投入予定の新版から単体で販売する。斎藤マネージャーは「これまではデータベース製品の付加価値を高めるためという位置付けだったが、より広く使ってもらいたいと考え、方針を変えた」と話す。

 パターン2は、Hadoopなどの分散処理ソフトや、商用のERPパッケージなど、汎用的なデータベース以外のソフトに接続するためのコネクターを提供する、というものだ。クリックテック・ジャパンは2011年11月に提供を開始した「QlikView 11」において、SAPジャパンのERPパッケージやインフォマティカ・ジャパンのETL(抽出・変換・書き出し)ツールなどからデータを読み込むためのコネクターを用意した。

 パターン3は、自社のBIツールと、自社で提供する分析用のアプライアンス製品などとの連携を強化し、パフォーマンスを向上させる取り組みだ。

 日本IBMは、同社のBIツール「Cognos Business Intelligence」と、2010年に買収したネティーザのDWHアプライアンス製品を組み合わせて使う場合、「処理に応じて使用する関数を適切に設定できるなど、SQLを最適化してあるため、パフォーマンスを発揮しやすい」(同社の京田雅弘ビジネス・アナリティクス事業部Cognosクライアント・テクニカル・プロフェッショナルズ部長)という。

 SAPジャパンは、同社のBIツールと2010年末に提供を始めたDWHアプライアンス製品の接続形式として、汎用的なODBCなどではなく、独自規格の「BICS」を採用している。瀬尾直仁ソリューション営業統括本部BI事業開発マネージャは「他社のBIツールを使う場合よりも、DWHアプライアンスの性能を引き出せる」と語る。

分析結果を大勢で閲覧

 コラボレーション機能については、BIツール上にコメントやチャットの機能を付加するなどが一般的だ。クリックテック・ジャパンや日本IBMなどがこの機能を取り入れている。

 多くのユーザーが分析結果を閲覧できるよう、他のツールの画面上にBIツールのデータを表示できるようにする、といったケースも増えている。KMSIが提供するYellowfin Ver.6は、イントラネットなどに分析結果を引用できるようにした。Yellowfin Ver.6は通常の利用形態ではユーザー数に応じて課金するが、イントラネットで分析結果を見る場合は、ユーザー数に関係なく定額で利用できる。