編集後記
目次
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2013年6月27日号
インソーシングの特集は、ある意味、3月7日号の「極言暴論」で書いた「『システム内製こそ正義』のたわ言」の続編と言えます。米国企業と異なり日本企業は終身雇用が前提ですから、システム開発の山に合わせて技術者を雇用できません。ですから、何の前提もなくシステム内製の必要性を叫ぶのは、たわ言にすぎない。これ…
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2013年6月13日号
マイナンバー制度には「費用対効果が不明確」(日本弁護士連合会)などいまだ反対意見がくすぶります。コスト削減効果はやがて明確になるとして、行政サービスの質向上も指標化で説明できるのでは。例えば、行政手続き時に様々な機関や部署を行き来する「たらい回し度」、同じ事項を何度も書き込ませる「二度手間度」など…
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2013年5月30日号
すごい監視員は、人とは違うモノがぱっと見えるんですよ―。今回のセキュリティ特集の取材で印象的だったのが、サイバー攻撃を可視化するSOC(セキュリティ監視センター)の優れた監視員が持つ特殊なスキルでした。画面を流れる膨大なログ情報から「画像認識のように一瞬で、攻撃の証跡を見つけ出す」とか。こうした人…
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2013年5月16日号
アベノミクスなどの影響で景気回復期待が高まり、2013年度は日本企業のIT投資も積極化しそうです。IT業界にとっては久々の好機到来ですが、各社の真価も問われることになります。IT投資を増やしても効果に乏しいとなれば、顧客企業は逆に失望感を高めかねません。ビジネスを変革してイノベーションを起こすため…
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2013年5月2日号
読者のみなさんはFacebookやLinkedInといったSNSを利用していますか。SNSにより、長年音信不通だった友人や、仕事の顔しか知らなかった同僚の意外な一面を発見した経験があるのではないでしょうか。特集で取り上げた各社に聞くと、同様の出来事が社内SNSでも起こるそうです。入社以来話していな…
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2013年4月18日号
運用担当者の皆さん、あなたの“今の仕事”は無くなります―。今回の特集で私が一番訴えたかったのは、このようなメッセージです。私もかつては、Windowsサーバーの運用情報誌「日経Windowsプロ」の記者でしたから、運用に対して、人一倍強い思いがあります。しかしそれでも、クラウドの進化を目の当たりに…
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2013年4月4日号
ビッグデータの活用に成功している企業は成果をことさらに隠し、失敗した企業は「やはりバズワードだった」と声高に喧伝すると市場が失速する―。野村総合研究所の鈴木良介氏が、2月に開催したBigDataEXPOのパネルディスカッションで指摘した言葉が印象に残っています。こうした谷に落ちてしまわぬよう、「日…
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2013年3月21日号
コンサルタントから聞いた話です。「大阪にミカンを格安で売る果物屋があった。ミカンを仕入値で売るから店は大繁盛。では、どうやって儲けているのか」。今回の特集ふうに言えば、ビジネスモデルのイノベーションの事例と言えるでしょう。答えは「ミカン箱をつぶして業者に売る」です。ちなみに、コンサルタントがある企…
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2013年3月7日号
店頭での在庫検索などでiPhoneを2010年から先駆的に導入したユナイテッドアローズは、スマートフォンの業務活用に当たり「機能の詰め込みすぎは避けるべき」と語ります。
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2013年2月21日号
あのRFP説明会は熱かったなあ。UX(ユーザーエクスペリエンス)設計の取材で、UX設計コンサルタントが感慨深げに話してくれました。あるユーザー企業が開いたRFP説明会で、担当者はシステムの世界観、実現したいUX、システムにかける思いを力強く語り、居並ぶベンダーはその熱気に圧倒されたのこと。その結果…
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2013年2月7日号
ミャンマーとベトナムへの12日間におよぶ今回の出張は、いつにも増して長く、トラブルも多かった分、思い出深いものとなりました。二つの国で出会った若いITエンジニアが、みな真剣に仕事に打ち込む姿も、強く心に刻まれました。本特集が、2年間在籍した日経コンピュータでの最後の仕事になります。この間、約10カ…
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2013年1月24日号
パブリッククラウドは、ユーザー企業にとって「第一の選択肢」になったことを実証する―。それが今回の特集のテーマです。
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2013年1月10日号
ゴミ山の中に宝が眠っている―ビッグデータ活用の恩恵としてよく使われる表現ですが、私には違和感があります。存在する確証のない宝を発掘するために、投資とリソースを傾けられる企業は多くはありません。挑戦したいビジネス上の目標があってこそ、様々なデータを集めて分析する価値がある。今回の特集取材を通して、そ…
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2012年12月20日号
今回特集で取材した女性に仕事を進めるうえで大事にしていることを聞いたところ、共通した答えが返ってきました。それが時間管理です。朝にやることを一覧にしてから取り組むといいます。子供が乳児だと体調を崩すことも多く、いつ保育所から呼び出されるか気になりながら働いているそうです。出産前は終電近くまで働いて…
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2012年12月6日号
方法論でイノベーションを起こせるのか。特集の取材先としばしば議論になった点です。行き着いたのは「方法論を知らず、情熱や行動力、知力で起こす人はいる。その逆はほぼない」という当然の結論でした。誌面で紹介できませんでしたが、「方法論の前に消費者や他社事業をもっと研究しろ」と現場に檄を飛ばす、楽天の濱野斗…
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2012年11月22日号
虹彩、血管、筆跡、足音まで。個人に特有な生体情報なら、何でも貪欲に使ってしまうのが生体認証という技術です。中でも究極が、生体の設計図であるDNAです。米国を中心に、90分以内にDNAを照合できる技術「Rapid DNA」が注目を集めています。主に犯罪捜査での利用を想定していますが、もし将来、生体認…
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2012年11月8日号
逆立ちしても、この人にはかなわない―。特集で15人のエースを取材する過程で、自分の至らなさを何度も痛感しました。誰もが自分の仕事を心から「楽しそう」に語っていたのが、その理由です。初対面の記者に愚痴をこぼす人はいないでしょうし、夜の飲み会では別の顔が見られるのかもしれません。しかし、嫌々仕事をして…
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2012年10月25日号
今回はシンガポールとマレーシア、タイを訪れ、データセンターとユーザー企業を取材してきました。出張期間は、ちょうど中国での反日デモがピークだった時期。海外メディアも連日、日系企業や日本人を標的にした中国での暴動を、驚きを持って取り上げていました。世界中がチャイナリスクを改めて認識し、特に日系企業はア…
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2012年10月11日号
特集執筆中に、米IBMのサミュエル・パルミサーノ氏が会長を退任すると発表しました。2006年に来日した際には、インドなど新興国市場への期待だけ淡々と言及し数時間で去っていきました。退任が決まっていたと思われる今年9月の来日。90年代前半の日本駐在の思い出をにこやかに語っていたのが印象的でした。退任…
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2012年9月27日号
ユーザー企業が主導した新しいITビジネスが加速しています。ただ一橋大学大学院の野中郁次郎名誉教授は「異業種と連携し新しい価値を生み出せる人材が日本企業には不足している」と言います。資本提携によって企業間で人材交流が進み、異なる領域の事業を経験することが育成には欠かせないとのことです。ITベンダーが…