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図●クラウド・コンピューティングの概念。これまでユーザーが自前で用意していたコンピュータ資源をすべてネット経由で利用できるようにする
図●クラウド・コンピューティングの概念。これまでユーザーが自前で用意していたコンピュータ資源をすべてネット経由で利用できるようにする
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 データセンターにある「コンピュータ資源」に、ユーザーがインターネット経由でアクセスする利用・処理形態のこと。ユーザーはコンピュータ資源の物理的な場所や構成を意識することなく、必要な機能(サービス)だけを利用できる。

 米グーグルのエリック・シュミットCEO(最高経営責任者)が、同社のコンピュータ資源を雲(クラウド)にたとえたことが語源とされる。ユーザーは自前でコンピュータ資源を購入・調達したり運用したりする手間とコストから解放される。Webブラウザさえあればよいので、パソコンだけでなくモバイル機器などからも簡単に利用できる。

 同様な概念は以前からあった。多数のコンピュータを接続した分散処理形態である「グリッド・コンピューティング」、電気や水道のようにコンピュータ資源を必要に応じて利用できるようにする「ユーティリティ・コンピューティング」、アプリケーションをネット経由で提供するASP/SaaSなどである。

図●クラウド・コンピューティングの概念。これまでユーザーが自前で用意していたコンピュータ資源をすべてネット経由で利用できるようにする
図●クラウド・コンピューティングの概念。これまでユーザーが自前で用意していたコンピュータ資源をすべてネット経由で利用できるようにする

 クラウド・コンピューティングはこれら既存の概念を発展させて、アプリケーションを開発・実行したり運用するための「プラットフォーム」も提供する。具体的には開発環境(開発ツール、開発言語)、ミドルウエア(データベース、ファイル・システム、負荷分散機構)、ハードウエア(サーバー、ストレージ、ネットワーク)などだ。ユーザーが利用できるのはグループウエアやCRM(顧客情報管理)といったアプリケーションにとどまらない点が、既存の概念とは異なる()。

 利用者はこれらのプラットフォームをネット経由で利用する。アプリケーションやプラットフォームの使用量やユーザー数などに応じて料金を支払う。

 クラウド・コンピューティングの先駆けは米アマゾン・ドットコム。アマゾンは自社の巨大電子商取引サイトを動かすIT基盤を他の企業に運用込みで開放するサービス「Amazon EC2」を2006年12月から開始した。米セールスフォース・ドットコムも07年9月に提供開始した「Force.com」を、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS:プラットフォーム・アズ・ア・サービス)と称して、データベースや開発ツール、GUIなどの開発環境を提供している。米グーグルも自社のIT基盤を基にしたサービス「AppEngine」を08年4月に始めた。

 アマゾンやグーグルのクラウド基盤は、もともと自社のサービス向けに開発したものの一部。クラウド・サービスの収入や利用者増に伴ってクラウド基盤を充実させれば、その分検索サービスやECサービスの基盤がより強固になる。