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 2010年を迎えるにあたり、改めて「情報化」とは何のことか考えようと、インターネットの検索エンジンを使って調べたところ、2009年12月末の段階で1210万件がヒットした。相当使われている言葉である。が、明確な定義はない。多くは「情報化社会」「情報化組織」といった形で使われている。情報のやり取りが活発な社会や組織ということだろう。ただし、これだけでは情報化社会や情報化組織が、投資をしてまで目指すべき理想形なのかどうか、よくわからない。情報をやり取りするのは何のためなのか、目的を明確に記した定義が求められる。素案として、筆者が7年前の2002年10月に、ITproというWebサイトに書いた短文を再掲してみよう。

 情報化はかなり頻繁に使われている言葉でありながら、その語源はよく分からない。造語であることは間違いない。英語には「情報化」に相当する言葉はない。

 明確な定義がないせいか、様々な人がこの言葉を思い思いに使っている。筆者は、日経コンピュータ創刊500号(2000年7月17日号)の特集で、情報化を「社会・企業などを、情報技術を使って顧客中心型に改革し続けること」と定義した。情報技術は道具であり、改革が主であることを強調したつもりである。

 もう一つ、別の定義を紹介する。勁草塾と呼ぶ情報化に関する勉強会を主催されている阪上浩氏によるものだ。阪上氏は、日経コンピュータ1997年1月6日号から1年間、「中堅企業の情報化戦略」を連載した。阪上氏は情報化を、「情報を活用して付加価値を創造していく一連の行為」と定義している。一連というのは、情報の中味を定義し、収集し、蓄積し、分析し、その意味を読みとって付加価値を創造するという流れを指すという。阪上氏の定義をみても、情報化の実行主体が人間であること、情報技術は情報を作り出す手段の一つであることが明確である。

 拙文を読み直してみると、改革や付加価値創造という言葉がやや抽象的で硬い。企業の情報化をより具体的に定義するなら、「情報を活用して儲けること」としてもよいだろう。こう考えて、本誌が2010年に取り組んでいくテーマを「儲かるシステム」とした。念のため付記しておくと、金儲けが目的なのではなくて、改革(例えばコスト削減)、価値創造(例えば新製品の投入)をした結果として、利益が出るということだ。
 2009年末の日本社会や日本企業の状況を見れば、改革、付加価値創造、儲かるシステムの実現は喫緊の課題である。

 情報化においては、情報の活用に意味があるのであって、情報技術(コンピュータとネットワーク)の利用が必須というわけではない。2002年10月にWebサイトに次のように書いた通りである。

 コンピュータに入っているものが、すべての情報というわけではない。コンピュータに載せやすい情報と、載りにくい情報がある。そして載りにくい情報に、非常に重要なものが少なくない。例えば、工場や営業などの現場にある情報である。優れた経営者は工場を見るだけで、その企業の実力を見抜くという。営業担当者の顔色を見れば、日報に書かれていないことも分かる。

 とはいえ、2002年の拙稿執筆から7年が経過し、インターネットとその関連技術によって、企業や組織の外にある情報まで収集・分析できるようになってきた。「外の情報」の使いこなしが情報化の正否を左右するに違いない。