PR

 PCや携帯電話などのIT機器や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのITサービスを、ごく当たり前のように使いこなす世代のこと。明確な定義はないものの、現時点で20歳代半ばより年下の世代を指すのが一般的だ。もともとは調査会社の米ガートナーが、新しいデジタル世代として提唱し始めた。

 デジタルネイティブは、次のような特徴がある。常にインターネットとつながっている(ネット端末を持ち歩いている)、すぐに情報を検索する、身の回りの情報を発信したがる、同時に複数の作業を進めることを得意とする、インターネット上に個人情報を掲載することに抵抗がない、インターネットを通じて交友関係を広げる、などである。
 デジタルネイティブという言葉が生まれた背景には、消費者向けのITが高度化してきたことがある。

 IT機器やITサービスが当たり前の存在になっているデジタルネイティブと、これまでの世代(デジタルイミグラントと呼ぶ)との価値観は大きく異なる。そのため、社会で活躍するデジタルネイティブの割合が増えることは、企業情報システムのあり方にも大きく影響してくる。自社の「顧客」としての影響と、自社の「従業員」としての影響、の二つの側面がある。

 顧客としての影響の代表例は、自社の製品・サービスに関連する情報サービスや情報そのもの重要度が増すことだ。

 例えば、すぐに検索してすぐに結果が分かることが“当たり前”だと感じているデジタルネイティブは、情報をすぐに探し出せない状況にストレスを感じる。購入を希望する商品の在庫状況がすぐに調べられなかったり、商品に関する情報を十分に公開していなかったりする企業からは、顧客が離れていく可能性がある。

 デジタルネイティブが従業員となる影響の代表例は、システムに求められる機能やインタフェース、サポート体制が変わることだ。

 例えば、インターネットの検索サービスを使い慣れている従業員は、自社のシステムを横断的に検索できないことに不満を持つ。サポート体制では、電話のヘルプデスクではなく、Webサイトやメールでの対応を好む傾向にある。インタフェースとしては、デスクトップPCではなく、スマートフォンやタブレットPCでの使い勝手を重視する従業員が増えてくる。

 デジタルネイティブの従業員が増えることで、社内のITガバナンスを強化する必要性も出てくる。例えば、デジタルネイティブは気軽に情報を発信したり共有したりすることが“当たり前”のため、本人の悪意はないにもかかわらず機密情報をネット上に公開してしまうリスクがある。

 ITサービスを活用するスキルが高いため、システム部門の目の届かないところで、勝手に外部のクラウドサービスを使い始めることも考えられる。情報セキュリティの教育を強化したり、情報が漏れない仕組みを再整備したりすることの必要に迫られる企業は増えそうだ。

 人口に占めるデジタルネイティブの割合は、次第に高まっていく。こうした近未来を見据えて、システム部門は新しい企業情報システムの形を検討しておく必要がある。